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ドイツのグローブ専門メーカー「リックル」の自転車用プロダクト Badi、OTTAWA

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自転車や馬術、スキー競技用のグローブ専門メーカー「Roeckl(リックル)」の2017年モデルより、BadiとOTTAWAという2種類のグローブを紹介しよう。いずれもドイツのクラフトマンシップが生きるプロダクトだ。



リックル Badi(ブラック)リックル Badi(ブラック) (c)ミズタニ自転車
1839年にドイツ・ミュンヘンで創業したグローブ専門メーカーのリックル。馬術やスキー競技、自転車用のグローブだけにラインアップを絞り、妥協ないクラフトマンシップを感じられるメーカーとして人気を集めているというブランドだ。

自転車用としてラインアップされる数多くのモデルより今回ピックアップして紹介するものは、BadiとOTTAWAという2種類。自転車用グローブの手のひら部分には、独自の低反発フォーム「FLEX FORM」を使用していることが特徴だ。

リックル Badi(ブラック/ホワイト、ブラック/レッド、ブラック/ブルー)リックル Badi(ブラック/ホワイト、ブラック/レッド、ブラック/ブルー) (c)ミズタニ自転車
FLEX FORMは、ハンドルを強く握るとフォームが潰れることで薄手のグローブのような感覚を得られ、対して優しく握ったときにはフォーム本来の衝撃吸収性を発揮させることができるという素材だ。ダイレクト感のある握り心地と、振動吸収性を両立しており、どちらも逃せないというサイクリストにピッタリだろう。

Badiは優れた伸縮性と柔らかな肌触りを備えたライクラ素材を採用することで、フィット感と快適な着用感を実現させたモデルだ。アッパー部分にはマイクロメッシュを使用し、通気性を高めている。加えて、ベルクロのクロージャーや中指と薬指にプラーなどを備えており、使い勝手も良いだろう。カラーはブラック、ブラック/ホワイト、ブラック/レッド、ブラック/ブルーという4色展開で、価格は6,000円(税抜)。

リックル OTTAWA(グレー/ブラウン)リックル OTTAWA(グレー/ブラウン) (c)ミズタニ自転車
リックル OTTAWA(ブラック、ホワイト、モカ)リックル OTTAWA(ブラック、ホワイト、モカ) (c)ミズタニ自転車
OTTAWAは、FLEX FORMや中指と薬指に備えられたPULL OFF Systemなど、Badiに採用されたテクノロジーを採用しつつ、カジュアルなデザインに落とし込んだハーフフィンガーグローブ。人差し指部分にはSupremaという革のような素材を使用することで、普段着との相性の良いデザインを実現している。価格は7,400円(税抜)。



リックル Badi
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック、ブラック/ホワイト、ブラック/レッド、ブラック/ブルー
価 格:6,000円(税抜)

リックル OTTAWA
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ブラック、ホワイト、グレー/ブラウン、モカ
価 格:7,400円(税抜)

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の画像 葛城山 ステンレス片手ピッケル #3391
メーカー:三共コーポレーション
部品番号: #3391
価格:
の画像 BlackDiamond(ブラックダイヤモンド) レイブンウィズグリップ 65cm BD31023
メーカー: BlackDiamond(ブラックダイヤモンド)
部品番号: BD410157000065_1
価格:¥ 12,960
の画像 BlackDiamond(ブラックダイヤモンド) レイブン BD31020 60cm エンビーグリーン
メーカー: BlackDiamond(ブラックダイヤモンド)
部品番号: BD410151ENGR60_1
価格:¥ 9,720

ログリッチェ「ガリビエで勝利できるなんて」 ウラン「明らかに全員が疲れてきている」

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大きく総合順位が動いたガリビエステージの選手コメントを紹介。逃げ切って勝利したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)は「今日勝利できたなんて信じられない。言葉にならない」と喜びを語っています。



ステージ優勝したプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)

ステージ初優勝を飾ったプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)ステージ初優勝を飾ったプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ガリビエを越えるこのステージで勝利できるなんて信じられない。言葉になんてならないよ。現時点では何が起きているのか理解できないくらいだ。後になって振り返った時に、この勝利がいかに素晴らしいものだったか実感できるのだと思う。このステージを事前にチェックしていて、ガリビエ峠でアタックしてそのまま下りを全力で駆ける作戦だった。今日はそれで行こうと決めていたんだ。ガールフレンドや家族も見に来ていたからね。沿道にはスロベニア国旗も見えていた。本当に素晴らしい日になったよ。

ステージ2位、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)

今日はとてもいいレースが出来たと思う。もちろんステージ優勝が出来れば御の字だったけれど、アルの様に強力なライバルに対して、タイム差を付けることが出来たことが何よりも重要なことだった。ツールも最終周に突入し、みな疲労が蓄積されていることは明らかだ。

その中でもチームスカイは際立って強さくレースを支配しているから、僕らはその中で注意深くレースを展開していくだけ。でも、それで十分。明日もまたかなり登ることになるし、山頂フィニッシュだから、きっと激しい争いが繰り広げられるだろう。でも、きっと全てうまくいくと思っているよ。

マイヨジョーヌを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

ガリビエステージを無事に終えたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ガリビエステージを無事に終えたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
今日アルが遅れるとは思ってもみなかった。かなり意外だったけれど、それもすべてチームメイトのおかげ。一人一人が僕を安全に守りきるために全力を尽くしてくれたことに対して、本当に、本当に感謝をしている。全てが作戦通りに運んだんだ。

イゾアールは間違いなく今年のツールで最も山場となる峠。でも個人的には土曜日の個人タイムトライアルを楽しみにしているよ。今年のツールを目指してTT能力の強化に力を費やしてきたし、コースレイアウトも自分向きだ。この総合リードのままでもタイムトライアルを迎えることができればハッピーだ。

ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

ガリビエ峠頂上に近づきアタックの機会を伺うロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)ガリビエ峠頂上に近づきアタックの機会を伺うロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Makoto.AYANO
今日は勝利を目指して走り続けていた。ガリビエで持てる全てを吐き出してアタックを仕掛け、タイム差を付けようとしたんだ。誰かと協調できるかと思ったけれど、後悔はしていない。ツールでは、どれだけ耐え続けることができるかが問われることとなる。

ラストの下りでは、フルームを引き離すことは難しかったね。明日のイゾアールでの山頂フィニッシュは、総合争いで重要な分かれ目になるだろう。今日のような強さを明日のステージでも発揮できるかどうかが、今は一番大切なことだよ。

総合順位を落としたファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

ライバルたちから31秒失ったファビオ・アル(イタリア、アスタナ)ライバルたちから31秒失ったファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele / TDWsport
レースなんだからこんな日もある。今日はベストデイではなかったが、それが結果に表れてしまった。最後までベストを尽くせたので、タイム差は最小限に抑えられたと思う。とにかく、今日のステージでは大きなドラマは生まれなかったね。レースはパリまで続く。明日は今日とは違った上りゴールで難しいステージだ。今日の遅れを取り戻したいし、再び戦いの中に戻れるようトライしたいと思う。

敢闘賞を獲得したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)

ステージ敢闘賞を獲得したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)ステージ敢闘賞を獲得したアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele / TDWsport
目標としていた勝利には手が届かなかったけれど、これがスポーツだ。今日のステージは、単独で走行する距離が長すぎた。もし、最初の逃げに乗ることができたならば問題なかったけど、70km地点でメイン集団から抜け出したことで、作戦の幅が狭まった。

クロワ・ド・フェール峠では5分のタイム差を縮めるためかなり頑張ったよ。逃げる時、ナイロ(キンタナ)にも一緒に来るように誘ったけど、彼はついてくることができなかった。山岳地帯をトレーニングしているようだった。

ガリビエ峠では力をセーブしようと思っていたが、アタックが頻発したのでかなり力を使わされた。総合勢と同じグループで登りきることができたけど、勝利のために闘うことはできなかった。これから勝てるチャンスが残っていないので残念だ。調子は良いし、勝利を切望しているが、今年のツールは私にとって難しく感じる。

アタックが不発に終わったナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)

ある日は闘えるけど、またある時は苦しむ日もある。ガリビエ峠の登りは非常にタフで、無事にフィニッシュすることしかできなかった。自分にはもう足が残っていないので、1日1日完走し、パリまでプロトンに留まることが目標だ。明日もまた厳しい日になりそうだ。

ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)

ステージが始まって直ぐの落車に巻き込まれてしまって、今日のプランは最初から無茶苦茶になってしまった。でも、あそこからしっかりと復帰できたのは良かった。キッテルがクラッシュでリタイアすることになってしまったね。グリーンジャージを巡る戦いを最終日まで続けたかったから、こんな形で手にするのは少し残念だ。でも、結果的にチームは山岳賞とポイント賞の2つを手にすることになったから、パリまでこれらを守り続けていきたい。

マイヨヴェールを受け取ったマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)

念願のマイヨヴェールを手に入れたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)念願のマイヨヴェールを手に入れたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:Tim de Waele / TDWsport
昨日のステージで50ポイントを獲得した後、やっとポイント争いの勝ぶが始まったと思った。今日は確実に20ポイントを獲得しなければいけないこと、そしてそのポイントを得てもなおマイヨヴェールが難しいことは分かっていたよ。でもそれまでは良い戦いをしていたし、キッテルのリタイアは誰も望んでいないことだ。

マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)

ものすごく落ち込んでいて、今の気持ちを上手く表現できない。ステージ5勝で帰宅という結果だけで見れば素晴らしいことかもしれない。でもパリが目前に迫った中で落車で去るなんで最悪以外に言葉がないよ。落車を避ける手立ては何もなくて、肩と背中、肘とお尻に擦過傷を負ってしまい、腫れも出てしまった。バイクに乗り続けようと頑張ってみたものの、ペダリングはただただ辛かった。それにここ2,3日は風邪をひいてしまい、胃痛を患っていたこともダブツパンチになってしまったんだ。これからは休息をとって、回復に専念する。ツールで5勝したという自信が状況をよくしてくれるはずだ。

text:CW編集部

年々交通規制が厳しくなるツール ガリビエ決戦は無事に終了

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今大会最高地点のガリビエ峠には暖かい太陽の光りが差し込んだ。沿道を沸かせたバルデのアタックとキッテルの衝撃的なリタイア、ルームメイトのバルギルとマシューズの活躍など、見どころが詰め込まれたツール第17ステージを振り返ります。



キッテルにパリの方向を示すドイツ人ファンキッテルにパリの方向を示すドイツ人ファン photo:Kei Tsuji / TDWsport
標高2,642mの超級山岳ガリビエ峠(全長17.7km/平均6.9%)標高2,642mの超級山岳ガリビエ峠(全長17.7km/平均6.9%) photo:Kei Tsuji / TDWsport
日本でも有名になったクレモン・ルロワさんも超級山岳ガリビエ峠に登場日本でも有名になったクレモン・ルロワさんも超級山岳ガリビエ峠に登場 photo:Kei Tsuji / TDWsport
超級山岳ガリビエ峠の上空にVIPヘリが舞う超級山岳ガリビエ峠の上空にVIPヘリが舞う photo:Kei Tsuji / TDWsport
超級山岳ガリビエ峠を登るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)らメイン集団超級山岳ガリビエ峠を登るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)らメイン集団 photo:Kei Tsuji / TDWsport
コースの交通規制を行っているフランスのジャンダルマリー(憲兵)は基本的に大会関係車両に寛容で、例えば1日に何か所も撮影したいフォトグラファーのプレスカーがコースに入りたいorコースを出たい時はバリアーを開けてくれる。「上に確認します」なんて作業はほぼなく、ジャンダルマリーそれぞれが状況を判断して動いてくれる。しかしその寛容さも年々薄れてきている感はある。

レース周辺のセキュリティが例年よりも厳しいことはこれまで常々言ってきたが、コース上の交通取り締まりも厳しくなりつつある。第17ステージはエマニュエル・マクロン大統領がツールを訪れた影響で規制はさらに厳しくなった。

車のハンドルを握るものとしては常識的なことだが、以下は大会開幕前に運転手に配られた冊子に記された禁止事項ならびに注意事項。

関係車両運転手の禁止事項
・血中アルコール濃度の上限は0.0g/l(つまり運転前の飲酒禁止)
・運転中の携帯電話の使用禁止
・コース上のUターン禁止

関係車両運転手への注意事項
・安全のためにシートベルトを常に締めること
・観客の多いエリアは30km/h以下で走ること
・コース上は全て最高速度80km/h
・常にヘッドライトを点けること
・交通規制を守り、標識に注意すること
・主催者の指示に従い、互いを尊重すること
・運転前に必ず車両を点検すること
・1週間ごとにタイヤの空気圧をチェックすること
・3週間よく寝て健康を保つこと(本当にそう書いてる)

特に禁止事項については厳密で、補給地点で数十メートルだけUターンして戻ったチームバンがステッカーを剥がされてレース除外になった例もある。何気なくコース脇に立っているジャンダルマリーがスピードガンで通過車両のスピードをチェックしていたりする。

フォトグラファーを乗せたモーターバイクのスピードも例外ではなく最高80km/h。今までは平坦ステージで残り5kmほどまで撮影して離脱し、アクセル全開で飛ばせば選手たちの到着数分前にフィニッシュにたどり着けたが、最高80km/hとなるとプロトンとそれほどスピードが変わらないので、かなり早めに離脱しないといけない。とは言ってもルールでがちがちに固めているわけではなく、現実的にレースの進行の妨げになるようであれば速度オーバーが黙認されている。

超級山岳ガリビエ峠でアタックを仕掛けるロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)超級山岳ガリビエ峠でアタックを仕掛けるロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Kei Tsuji / TDWsport
振り返ってライバルたちの位置を確認するロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)振り返ってライバルたちの位置を確認するロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Kei Tsuji / TDWsport
超級山岳ガリビエ峠で遅れたサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)超級山岳ガリビエ峠で遅れたサイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット) photo:Kei Tsuji / TDWsport
超級山岳ガリビエ峠を登るマイヨジョーヌ超級山岳ガリビエ峠を登るマイヨジョーヌ photo:Kei Tsuji / TDWsport
雨予報が出ていた標高2,642mの超級山岳ガリビエ峠は幸い晴れた。レース到着1時間前には雹混じりの雨が降ったが、路面はほぼドライの状態をキープ。岩がむき出しになった荒々しいアルプスの山々に大きな歓声がこだました。

観客の多くは当日入りだが、前夜から交通規制が行われているため、車を持ち込むためには標高2,642mの峠で一夜を過ごさなければならない。膨大な数のキャンピングカー(頂上手前の3kmだけでおよそ300台)はいい場所を取るためにもっと早めに現地入りしている。2〜3日前が平均的で、中には毎年の定番バカンスとして1週間近く前から沿道でツールを待ち続けている強者も。ちなみに峠に自走で観戦に向かう一般のサイクリストは100m間隔で立つジャンダルマリーに停止を求められ、バイクを押して徒歩での登山を指示される。

もちろんレース通過後がそれらの車両が一斉に麓を目指すので大混乱になる。レース最後尾のヴォワテュール・バレー(ほうき車)にくっついて下ればレースと同じスピードで下山できるが、少しでも下山のタイミングが遅れると一般車両やサイクリストの列に巻き込まれるので悲惨なことになる。

タイムオーバーを免れるためにグルペットは下りを鬼のようなスピードで走る、と言われる。実際に先頭グループとグルペットの下りスピードを比較すると、ステージ3位に入ったロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)は超級山岳ガリビエ峠の頂上から28km先のフィニッシュまで26分52秒(平均62.1km/h・最高106.2km/h)で走破しているのに対し、グルペットの選手たちは概ね28分強(平均59.2km/h・最高91.1km/h)だった。この日は総合争いが下りでも展開されたことと、ガリビエ峠通過時点でタイムオーバーまでまだ余裕があったためグルペットがそこまで下り攻めなかったことが要因だと思われる。

連日自身のSTRAVAアカウントに走行データをアップして惜しげも無く公開しているバルデは、フランスの輝く星になりつつある。クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)を引き離すには至らなかったが、その攻撃的なスタイルが観客を魅了している。フランス国内の視聴率も高い数字を叩き出しており、レキップ紙は連日一面トップ扱い。ロードレースに興味のない宿の主人に立て続けに「今年はバルデが勝つかな」と聞かれるぐらい、フランスにバルデ人気が浸透している。

曇り空の超級山岳ガリビエ峠を登るマイヨジョーヌ曇り空の超級山岳ガリビエ峠を登るマイヨジョーヌ photo:Kei Tsuji / TDWsport
スーパーフルームマンスーパーフルームマン photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨジョーヌ通過後は太陽が差し込むマイヨジョーヌ通過後は太陽が差し込む photo:Kei Tsuji / TDWsport
超級山岳ガリビエ峠の頂上付近で新城幸也(バーレーン・メリダ)を待つ超級山岳ガリビエ峠の頂上付近で新城幸也(バーレーン・メリダ)を待つ photo:Kei Tsuji / TDWsport
超級山岳ガリビエ峠を登るグルペット超級山岳ガリビエ峠を登るグルペット photo:Kei Tsuji / TDWsport
バルデに次いで沿道の応援が多いのがマイヨアポワを着るワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)。この日はガリビエ峠3番手通過の12ポイント獲得にとどまったが、ステージ優勝を飾ったプリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)と49ポイント差で山岳賞の首位を快走中。第18ステージと第19ステージで最大58ポイント獲得可能だが、もちろんログリッチェが動けばバルギルも動くので順位の変動は難しいと思われる。

そしてツール期間中バルギルとホテルの部屋をシェアしているマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がマイヨヴェールを獲得した。「ライバルの落車リタイアでジャージを手に入れるのは決してナイスではないけど、自分はこのジャージ獲得のために全力を尽くしてきたのでもう誰にも渡したくない」というマシューズ。マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)とポイント争いを繰り広げた結果として、ポイント賞2位のアンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)との差は160ポイントまで拡大。仮にグライペルが平坦な2ステージで勝利しても追いつけない差がついている。

バルデとバルギルとともにフランスの期待を集めていたティボー・ピノ(フランス、エフデジ)はリタイア。これによりエフデジは6名がレースを去り、レースに残っているのは3名(チモライ、ルガック、モラール)だけという寂しい状態に。プロトンも169名まで人数を減らしている。

ガリビエ決戦に続いて翌日はイゾアール決戦。総合はフルーム+27秒でウランとバルデ。ずっと雨予報が出ていたので関係者全員が頭を抱えていたが、午後にかけて雨マークが消えて曇りの天気予報に変わっている。第18ステージに先立って、午前中にショートコースで女子レースのラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス(與那嶺恵理出場)が開催されるため長い1日になりそうだ。

超級山岳ガリビエ峠の下りに突入する新城幸也(バーレーン・メリダ)超級山岳ガリビエ峠の下りに突入する新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
超級山岳ガリビエ峠の下りをこなすグルペット超級山岳ガリビエ峠の下りをこなすグルペット photo:Kei Tsuji / TDWsport
超級山岳ガリビエ峠の下りをこなすグルペット超級山岳ガリビエ峠の下りをこなすグルペット photo:Kei Tsuji / TDWsport
エマニュエル・マクロン大統領と握手するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)エマニュエル・マクロン大統領と握手するクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
念願のマイヨヴェールを手に入れたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)念願のマイヨヴェールを手に入れたマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:Tim de Waele / TDWsport

text&photo:Kei Tsuji
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の画像 図解運転テクニック
投稿者:近田 茂, 五條 瑠美子, 川崎 純子
出版社:日本実業出版社 (2003)
装丁:単行本, 190 ページ
の画像 女性に贈る 運転上手へのコツ
投稿者:片山右京
出版社:東邦出版 (2010)
装丁:単行本(ソフトカバー), 208 ページ
の画像 新・自転車“道交法"ブック (エイムック 3721)
投稿者:疋田智, 小林成基
出版社:エイ出版社 (2017)
装丁:ムック, 142 ページ

マヴィック Cosmic Pro Limited Izoard 超級山岳イゾアールをイメージした限定シューズ

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マヴィックのレーシングロードシューズ「Cosmic Pro」の限定モデル第4弾「Cosmic Pro Limited Izoard」が登場。今夜行われるツール・ド・フランス第18ステージのフィニッシュ地点である、イゾアール峠をイメージしたデザインがあしらわれた特別モデルだ。



マヴィック Cosmic Pro Limited Izoardマヴィック Cosmic Pro Limited Izoard (c)MAVIC
今年初めにはパリ~ニースパリ~ルーベといった、名だたるレースをイメージしたデザインのCosmic Pro限定シューズをリリースしてきたマヴィック。そこに続く限定モデル第4弾として登場したのが、ツール定番の超級山岳「イゾアール峠」をイメージしたデザインを落とし込んだ「Cosmic Pro Limited Izoard」だ。

標高2360mにもなるイゾアール峠は、今年のツール・ド・フランスにおいて最後の山岳ステージとなる第18ステージの山頂フィニッシュ地点にも設定されており、今までも数々のドラマを生んできた場所である。男子に先立って行われる、與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)も出場の女子レース”ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス”でも、今年はこのイゾアール峠を登るレイアウトが組まれている。

岩肌が露出し勾配も厳しいアルプスの山岳の様子を、茶色のグラデーションと山の形を彷彿とさせる三角のパターンで表現。その上には山にかかる霧をイメージしたブルーのカラーで塗り分けられたグラフィックとなっている。アッパーのベースカラーは紺色だ。

イゾアール峠をイメージしたデザインがあしらわれるイゾアール峠をイメージしたデザインがあしらわれる (c)MAVICパワー伝達指数80のカーボンアウターソールを採用パワー伝達指数80のカーボンアウターソールを採用 (c)MAVIC

カラーとグラフィックをシューズと揃えた限定ソックスも付属するカラーとグラフィックをシューズと揃えた限定ソックスも付属する (c)MAVICツール第18ステージの超級山岳イゾアール峠レイアウト(全長14.1km/平均7.3%)ツール第18ステージの超級山岳イゾアール峠レイアウト(全長14.1km/平均7.3%)©A.S.O.

シューズ自体は「Cosmic Pro」と同スペックとなっており、グレードとしてはフラッグシップの「Cosmic Ultimate」に次ぐセカンドモデル。基本的な構造や搭載されているテクノロジーは通常モデルと変わらない仕様だ。フィッテングシステムには締め付け具合を1mm単位で調整出来るエルゴダイヤルを2個搭載。アッパー部分は柔軟な合成マイクロファイバー素材を採用することで、長時間の使用でも快適なフィット感が得られる履き心地に仕上がっている。

アウトソールにはパワー伝達指数80の「エナジーカーボン アウトソール」を採用。同社トップモデルのCosmic Ultimateに採用されるパワー伝達指数100の「エナジーフルカーボンSLRアウトソール」よりもやや剛性を落とすことで、ソールの快適性を高め、ホビーライダーにも扱いやすいよう味付けされている。価格は35,000円(税抜)。限定モデルの特典として、シューズのグラフィックとカラーに合わせたソックスも付属する。数量限定となるため、気になる方は早めにチェックをしてほしい。

超級山岳イゾアール峠に広がる荒涼とした風景超級山岳イゾアール峠に広がる荒涼とした風景 photo:Tim de Waele


マヴィック Cosmic Pro Limited Izoard
サイズ:25~28cm
付属品:限定ソックス
ソールフレックス:80
価 格:35,000円(税抜)

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の画像 アルプスの谷 アルプスの村 (新潮文庫)
投稿者:新田 次郎
出版社:新潮社 (1979)
装丁:文庫, 327 ページ
の画像 アルプスはじめました (ブルーガイド)
投稿者:西野 淑子
出版社:実業之日本社 (2015)
装丁:単行本(ソフトカバー), 128 ページ
の画像 カレンダー2018 空から見た 北アルプス  Bird's Eye View of Northern Alps (ヤマケイカレンダー2018)
投稿者:佐々木 信一
出版社:山と渓谷社 (2017)
装丁:カレンダー, 28 ページ

ヴォクレールとシャヴァネルのスペシャルペイント BH G7 PRO&ULTRALIGHT

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地元フランスで圧倒的人気を誇る名選手トマ・ヴォクレール(フランス、ディレクトエネルジー)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)がツールで駆るBH G7 PROとULTRALIGHTを紹介しよう。それぞれのスペシャルカラーに注目したい。



シルヴァン・シャヴァネルのツール出場17回目を記念したスペシャルペイントのG7 PROシルヴァン・シャヴァネルのツール出場17回目を記念したスペシャルペイントのG7 PRO
G7 PROはISP仕様のエアロロードだG7 PROはISP仕様のエアロロードだシートチューブには17回目のツールを出場を表すようなデザインが入るシートチューブには17回目のツールを出場を表すようなデザインが入る


第8ステージではリリアン・カルメジャーヌ(フランス)によるステージ優勝を達成したディレクトエネルジー。プロコンチネンタルチームとして上々の成績を収めているフランスチームのダブル司令塔であり、ツールに無くてはならない存在がトマ・ヴォクレール(フランス)とシルヴァン・シャヴァネル(フランス)の2人だ。BHはこのツールに向けて、通常とは異なるレッドに彩られたG7 PROとULTRALIGHTを投入しているが、このエース級の2人にはそれぞれのスペシャルペイントが施されたバイクを渡している。

ツール出場17回目を数えるシルヴァン・シャヴァネルが駆るスペシャルバイクは、流体力学と風洞実験によりエアロ性能を高めたG7 PROだ。フレームはグレーとイエローをベースにしたレーシングデザインの上に、17を表すデザインがトップチューブとシートチューブに挿入されており、シャバネルの17回目のツール出場を記念している。

サドルは滑り止め素材が座面に配されたプロロゴ SCRATCH2 CPCサドルは滑り止め素材が座面に配されたプロロゴ SCRATCH2 CPCハンドルはプロトンでの使用率も高いヴィジョンMETRON 5Dハンドルはプロトンでの使用率も高いヴィジョンMETRON 5D

クランクはFSA K-Force LightをアッセンブルクランクはFSA K-Force Lightをアッセンブルシートチューブと同様のデザインがトップチューブにも配されるシートチューブと同様のデザインがトップチューブにも配される


コンポーネントはシマノDURA-ACE R9150をメインにクランクのみFSA K-Force Lightをセットする組み合わせ。足周りはFSAの姉妹ブランドであるヴィジョンのMETRONホイールにフランスブランドのハッチンソン Racing LAB PRO TOURのタイヤを合わせる。ペダルも同郷ブランドのルックを使用する。

なおディレクトエネルジーはFSAサポートチームであるため、シャバネルはプロトン内で使用率急上昇中のヴィジョン METRON 5Dハンドルをチョイス。淡々と逃げることを得意とするシャバネルらしいエアロを意識したアッセンブルだ。サドルは座面に滑り止め加工が施されたプロロゴのSCRATCH2 CPCを使う。

今ツールで現役を引退するトマ・ヴォクレール(フランス)のULTRALIGHTはシルバーのスペシャルカラー今ツールで現役を引退するトマ・ヴォクレール(フランス)のULTRALIGHTはシルバーのスペシャルカラー
今回のツール限りで引退を表明しているトマ・ヴォクレールのバイクは、軽量性を重視したクライミングモデルULTRALIGHT。フレームカラーはシルバーをベースにシンプルな黒ロゴが入るデザインで、トップチューブ横にはヴォクレールがこれまでのツールでステージ優勝を飾った日付が刻印される。

ヴォクレールはサテライトスイッチを使用するヴォクレールはサテライトスイッチを使用するトップチューブには過去にステージ優勝した日付が記載されるトップチューブには過去にステージ優勝した日付が記載される
ヴォクレールのバイクにはボトルケージが1つのみヴォクレールのバイクにはボトルケージが1つのみヴォクレールのホイールはロゴステッカーがシルバーとなるヴォクレールのホイールはロゴステッカーがシルバーとなる

パーツアッセンブルは先程のシャバネルバイクとほぼ変わりないが、ハンドル上部にはサテライトスイッチをセットし、リラックスポジションでも変速出来るようになっている。またボトルケージを1つしか付けないことも特徴的だ。

ヴィジョンのホイールはロゴがシルバーに変更されており、煌びやかに輝く特別仕様。ハンドル周りにはFSAのカーボンステムOS-99とK-Forceのアナトミックシャローハンドルをアッセンブルしている。サドルはラウンド形状のプロロゴ SCRATCH PROだ。

なお、シャバネルのULTRALIGHTはFSAのK-Forceキャリパーブレーキを使用している点も興味深いアッセンブルだ。

ツール特別カラーのレッドに塗られたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)のULTRALIGHTツール特別カラーのレッドに塗られたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)のULTRALIGHTシャバネルのULTRALIGHTにはFSA K-Forceキャリパーブレーキが搭載されるシャバネルのULTRALIGHTにはFSA K-Forceキャリパーブレーキが搭載される
第13ステージでレース序盤にアタックしたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)。チームメイトと同じレッドのULTRALIGHTも併用している第13ステージでレース序盤にアタックしたシルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)。チームメイトと同じレッドのULTRALIGHTも併用している
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.Ayano
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の画像 フランスはどう少子化を克服したか (新潮新書)
投稿者:髙崎 順子
出版社:新潮社 (2016)
装丁:新書, 224 ページ
の画像 フランス人は10着しか服を持たない~パリで学んだ“暮らしの質"を高める秘訣~
投稿者:ジェニファー・L・スコット
出版社:大和書房 (2014)
装丁:単行本(ソフトカバー), 240 ページ
の画像 フランスの教育・子育てから学ぶ 人生に消しゴムを使わない生き方
投稿者:岩本 麻奈
出版社:日本経済新聞出版社 (2017)
装丁:単行本(ソフトカバー), 256 ページ

東商会 8月1日より無金利ローンキャンペーン実施 10月31日まで

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サーヴェロやラピエールを取り扱う東商会が無金利でローンが組めるキャンペーンを開催する。期間は8月1日(火)から10月31日(火)まで。資金が無くても乗りたいバイクに今すぐ乗ることが出来るキャンペーンだ。以下、東商会のホームページより紹介しよう。



無金利ローンキャンペーンスタート無金利ローンキャンペーンスタート (c)東商会
無金利ローンキャンペーン

無金利ローンキャンペーン加盟店にて、対象製品をご注文いただく際、実質年率0%のショッピングローンをご利用いただけます。支払回数は12回払いまたは24回払いからお選びいただけます(ローンお申込み金額によっては12回払いのみの場合もございます)。

気になるあのバイクに乗りたいけれど、
・現金一括で買うと手元の現金が少なくなるのが心配。
・ローンを新たに組むのとしても金利負担を増やしたくない。
・予算が足りず、ローンを組むと金利手数料がかかってしまう。
そんなお悩みを解決するのが無金利ローンキャンペーンです。

ローン適用例ローン適用例 (c)東商会

キャンペーン詳細はこちら

選手とともに移動するキッチンレストラン 〜ディレクトエネルジーの場合〜

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過酷なツールを生き抜く上で欠かせないのが、質の良い食事を摂ること。今回は選手たちの胃袋を支える、ディレクトエネルジーのレストラン併設キッチントラックを取材しました。



フランスの5つの山脈がコースに組み込まれた今年のツール・ド・フランス。総走行距離は3540kmにおよびます。第17ステージのラ・ミュール〜セール=シュヴァリエでも、マイヨヴェールを守ってきたマルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)がリアイア。ツール・ド・フランスは、出場するのも難しいが完走するのも難しい、ということを改めて実感させられます。

シルヴァン・シャヴァネル(フランス)など、ツールに欠かせないメンバーを擁するディレクトエネルジーシルヴァン・シャヴァネル(フランス)など、ツールに欠かせないメンバーを擁するディレクトエネルジーチームが宿泊する駐車場で関係者や家族のためのパーティが開かれていましたチームが宿泊する駐車場で関係者や家族のためのパーティが開かれていました


このように世界一過酷なツール・ド・フランスでもっとも重要になるのが日々の体調管理。力の源となる「食事」も大きな位置を占めます。コースや天候、疲れ具合、選手の体調などさまざまな状況を考慮して食事を管理していると言います。チームはホテルに泊まるものの、各チームに専属シェフがつき、チームによってはキッチントラックまでも帯同しています。2015年は、キャノンデールのキッチントラックを取材しましたが、今年はディレクトエネルジーのカミヨンレストラン(キッチントラック)を見せてもらうチャンスをいただきました!

ディレクトエネルジーと言えばフランス国籍のチームであり、かつて新城幸也選手(バーレーン・メリダ)が所属していたところ(当時ユーロップカー)。今回の取材では新城選手のパートナーであり、フォトグラファーでもある飯島美和さんがご一緒してくださいました。

この日はディレクトエネルジーの宿泊するホテルの駐車場で、関係者や家族用のパーティが行われていました。笑顔と楽しそうな会話が飛び交い、和気あいあいとリラックスした雰囲気。地元フランスチームであり、ライダーもスタッフもほとんどフランス人というディレクトエネルジーは、関係者全員を「家族」と思っているのだそう。かつて(ユーロップカー時代)、新城選手と一緒に選手のために提供された寮(と言っても古いシャトー)で暮らし、チーム広報を務めていた美和さんにも「ミワ〜!元気〜?」とさまざまなところから声がかけられます。その光景はほんとうに家族。新城選手も美和さんも、チームとすごく良い関係が築かれていたんだな〜と伺えます。

ディレクトエネルジーのシェフを務めるクリストフ・パジョーさんディレクトエネルジーのシェフを務めるクリストフ・パジョーさん
パーティをしている間、実はこのカミヨンレストランの中では選手たちが食事をしていました。キッチントラックを持つチームはいくつかありますが、「レストラン」が中に併設され、その場で食事ができるのはディレクトエネルジーだけ。

このカミヨンレストランは、食品の小売りやケータリングを行う「フルーリー・ミション」のスポンサーによるもので、フルーリー・ミションとはフランスを代表する総合食品会社で、売上高約800億円にのぼります。主要アイテムはデリカテッセン、ハム、ソーセージなどのミート商品、パテ、練り製品、サラダなど各種調理済み食品で、フランスのスーパーでフルーリー・ミションのマークを見ないことはありません。そんなフルーリー・ミションの提供によるものですから力を入れないはずがないのです。

整頓されて清潔なキッチン整頓されて清潔なキッチンジューサーは2つ。フレッシュジュースを手早く作るためのアイテムたちジューサーは2つ。フレッシュジュースを手早く作るためのアイテムたち

マイクロウェーブオーブンも最新のものマイクロウェーブオーブンも最新のもの選手たちに欠かせないコーヒーメーカーやエスプレッソマシーンも完備選手たちに欠かせないコーヒーメーカーやエスプレッソマシーンも完備


案内してくださったのはシェフのクリストフ・パジョーさん。トラックの階段をあがるとそこはキッチン。中はシルバーで統一され、整理整頓されています。シンク脇のミントも清涼感があり清潔感が漂います。ガス台、マイクロウェーブオーブン、冷蔵庫、コーヒーメーカー、エスプレッソマシン、二台のジューサーなどなど。ナイフやレードルなどの道具もきちんとそろえられ、とても使いやすそう。

そして奥にはレストラン。テーブルに椅子が並べられ、数は9つ。フルーリー・ミションのカラーとコーディネートされた、グリーンの椅子が並べられ、明るい雰囲気。シリアルが数種類テーブルの上に置かれ、翌日の朝食用にカップ&ソーサ—も並べられていました。テーブル棚に置かれたのはフルーツバスケットで、いつでもビタミン補給ができます。壁にはテレビが備え付けられ、窓は中から外は見えるけど、外から中は見えない特殊な窓。ここがトラックの中であることを忘れてしまいそうです。選手のみがここで食事をし、スタッフは一切ここでは食べないし、作ることもないと言います。過酷な環境にさらされている選手たちは感染症などに対する免疫も落ちるので、衛生面には非常に気が遣われているのです。

ドリンク用の冷蔵庫。右上のものは手作り青汁ですドリンク用の冷蔵庫。右上のものは手作り青汁です冷蔵庫の中身とツール中のメニュー一覧表は残念ながら非公開でした冷蔵庫の中身とツール中のメニュー一覧表は残念ながら非公開でした


さてさて、選手たちはどんなものを食べているのでしょうか?クリストフさんに聞いてみました。

「明日の朝食はオムレツです。それにヨーグルト、パン、シリアル、ハム、チーズ、ジャム、コーヒー、紅茶。野菜と果物ジュースも。朝食はシンプルですがしっかり食べないと走れませんよね。明日はオムレツですがメインメニューは毎日変えています」

そのメニューは、ツールがはじまる前から、チーム専属ドクターとコース図を見ながら検討され、決められているそうです。キッチンの壁にはメニュー表が貼られていました。チキンの時もあればビーフステーキの時もあり、また「巻きずし」の日も。「MAKI」とよばれていて人気メニューなんだそうです。その巻き寿司の作り方、お寿司の握り方など、和食はなんと美和さんが教えに出向いたそう!クリストフさんからも「センセイです」と言われていました。

キッチン部分とレストラン部分が分けられていますキッチン部分とレストラン部分が分けられています
壁にはテレビも。朝食のためのカップ&ソーサ—が前日から準備されています壁にはテレビも。朝食のためのカップ&ソーサ—が前日から準備されていますビタミン補給ができるフルーツにいつでも手が伸ばせるようになっていますビタミン補給ができるフルーツにいつでも手が伸ばせるようになっています


移動がつきもののツール・ド・フランス。このカミヨンレストランもツール中全日程(パリを除く)ホテルからホテルへ直行し、食材の買い出しは毎日。移動途中や到着地近くの「インターマルシェ」や「カルフール」等で行い、野菜、果物、お肉、お魚等、毎日新鮮なものを準備。万全の体制で選手を待っているようです。

それに体調管理の上では、特別なドリンクを手渡しているチームもあるんです。例えばバーレーン・メリダでは生姜入りのかなり辛いジュースがありました(市販品でしたが)し、キャノンデール・ドラパックでも似たような生姜ジュースが飲まれているとのこと。はたまた一昨日にはオリカ・スコットとボーラ・ハンスグローエ、そしてBMCレーシングが合同でラムの丸焼きを食べていたようですし、食に対する各チームのこだわりに興味は尽きません。

オステオパシー(整体)マッサージャーのティエリ・プゲーさん(左)、飯島美和さん(中央)、クリストフさん(右)オステオパシー(整体)マッサージャーのティエリ・プゲーさん(左)、飯島美和さん(中央)、クリストフさん(右)


目黒誠子(めぐろせいこ)目黒誠子(めぐろせいこ)筆者プロフィール:目黒 誠子(めぐろせいこ)

2006年ジャパンカップサイクルロードレースに業務で携わってからロードレースの世界に魅了される。2014年よりツアー・オブ・ジャパンでは海外チームの招待・連絡を担当していた。ロードバイクでのサイクリングを楽しむ。趣味はバラ栽培と鑑賞。航空会社の広報系の仕事にも携わり、折り紙飛行機の指導員という変わりダネ資格を持つ。ライター、自転車とまちづくり・クリーン工房アドバイザー、ジャパン・マルベロ・フォーラム代表。
https://www.facebook.com/maruvelo/

text&photo:Seiko.Meguro
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投稿者: Hannah Grant
出版社: Musette Publishing (2016)
装丁:ハードカバー, 346 ページ
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投稿者:軽部 修子
出版社:エイ出版社 (2011)
装丁:単行本, 159 ページ
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投稿者:神﨑 貴子
出版社:草隆社 (2011)
装丁:単行本(ソフトカバー), 64 ページ

イゾアールの登坂決戦でヴァンヴルーテンが独走 與那嶺恵理は11位に食い込む

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超級山岳イゾアールを駆け上がる女子レース「ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス」で、アンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)が独走勝利。與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)は自身の目標を大きく更新する11位でフィニッシュした。



與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)とフランス王者のシャルロット・ブラヴァール與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)とフランス王者のシャルロット・ブラヴァール photo:Kei Tsujiプレゼンテーションを受けるエフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープのメンバープレゼンテーションを受けるエフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープのメンバー photo:Kei Tsuji

ブリアンソンの街をスタートしていく選手たちブリアンソンの街をスタートしていく選手たち photo:Kei Tsuji
7月20日に開催された「ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス」は、ツール男子レースに先立って行われた女子ワールドツアーレース。67.5kmのショートカットコースではあるものの、ツール第18ステージの舞台と同じブリアンソンから超級山岳イゾアールを目指すレイアウトだ。

昨年まではパリ・シャンゼリゼ周回コースで争われていた同レースだが、今年から初日がヒルクライムレース、そして上位20選手がマルセイユで開催される第2ステージへの挑戦権を得るという変則ステージレースに生まれ変わっており、標高2645mのイゾアールへの登坂力がものを言う。キャニオン・スラムが特別ジャージを用意するなど、その注目度は昨年以上に高くなった。

平均時速41km/hに達する活発なアタック合戦から抜け出したのは、リンダ・ヴィルムセン(ニュージーランド、チームヴェロコンセプト)。しかし単騎逃げを試みた元世界王者もイゾアールの麓でブールス・ドルマンス・プロサイクリングやWM3エネルジーが牽引する集団に飲み込まれた。

ブリアンソンからイゾアールを目指す集団ブリアンソンからイゾアールを目指す集団 photo:Tim de Waele / TDWsport
超級山岳イゾアールに差し掛かる超級山岳イゾアールに差し掛かる photo:Tim de Waele / TDWsport
本格的な登坂区間で集団を率いたのは、元世界王者、現イギリス王者のエリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)だった。淡々と刻んでいくハイペースに10名程度まで人数が絞り込まれ、與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)もここに食らいついていく。

すると残り4.1kmで、「少し早いかなと思ったけれど、タイムトライアルを踏まえてリードを稼いでおく必要があった」と語るアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)が発進。ジロ・ローザの登りTTステージで勝利した登坂力で一気に後続を引き千切ると、追走したダイグナンやシャーラ・ギロー(フランス、エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)を一切寄せ付けなかった。

残り4.1kmからアタックしたアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)残り4.1kmからアタックしたアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Tim de Waele / TDWsport独走でイゾアールの「カスデゼルト」を走るアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)独走でイゾアールの「カスデゼルト」を走るアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Tim de Waele / TDWsport

独走勝利を飾ったアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)独走勝利を飾ったアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット) photo:Tim de Waele / TDWsport
最終的に距離4kmで2位ダイグナンに43秒、3位以下に1分半を稼ぎ出したヴァンヴルーテンが圧勝。「ツールに集まったたくさんの観客の前で勝利できてよかった。本来クライマーではなかったけれど、リオ五輪の時に自分の登坂力に気付いて、そこからヒルクライムを集中的にこなしてきた。コースが発表されてからすごく楽しみにしてきたレースを勝てて良かった」と語っている。

そして世界のトップクライマーに食らいついてイゾアールを駆け上がった與那嶺は、3分12秒遅れの11位でフィニッシュ。途中ダイグナンのアタックにも反応するなど、ギローのアシストとしての仕事をこなしながら、世界トップクラスのクライマーと戦えることを示してみせた。ジロ・ローザを終えてからは休息を挟み、オランダ、そしてレース直前にはイゾアールでも練習を重ねてきたという。

エリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)のアタックに反応する與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)エリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)のアタックに反応する與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) photo:Tim de Waele / TDWsportイゾアールを登る與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)イゾアールを登る與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) photo:Tim de Waele / TDWsport

目標を大きく更新した與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)目標を大きく更新した與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ) photo:Tim de Waele / TDWsport
「今日はもう登りで(勝負が)決まるとわかっていました。しっかりと試走をしていて、頑張りどころを自分の中でも(準備)出来ていましたし、今日は凄く脚のコンディションも良くて、今日は大丈夫だなって。そこからは絶対に千切れないように耐える走りでした。トップ20が目標だったんですが、11位になれました。(今回のレースは)FDJのスポンサーレースだったんで、チームもハッピーですし、マルセイユ(2ステージ目のTT)にも2人が参加できます。それから、最後まで世界のトップ選手と(走ったことで、彼女たちが)ここで千切れるんだっていうのが目の前でわかりました。あそこまで登りがキツいと、(自分が)あそこまで残れるんだなって言うのがわかったんで、良かったです(與那嶺)」。

エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープのエースを担ったギローは1分半遅れの5位。チーム加入時から登坂力を買われていた與那嶺は、コースが発表された時点でチーム首脳陣から出場を伝えられていたという。ウィメンズワールドツアーでは昨年もフィラデルフィア・サイクリングクラシックで11位に入っているが、今回は最高峰の選手が勢揃いした中での結果であるため、同じ11位でも評価は段違いと言える。

第2ステージはフランス最大の港町マルセイユの街で行われる。

ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス表彰台ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス表彰台 photo:Tim de Waele / TDWsport
ラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス2017
1位アンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)2h07'18"
2位エリザベス・ダイグナン(イギリス、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)+43"
3位エリザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、ウィグル・ハイファイブ)+1'23"
4位メーガン・グアルニエ(アメリカ、ブールス・ドルマンス・プロサイクリング)+1'28"
5位シャーラ・ギロー(フランス、エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)+1'33"
6位アマンダ・スプラット(オーストラリア、オリカ・スコット)+1'41"
7位ローレン・ステフェンス(アメリカ、チームティブコ・SVB)+1'51"
8位アナ・サナブリア(コロンビア、セルヴェット・ジウスタ)+2'24"
9位カタルジーナ・ニウイアドマ(ポーランド、WM3エネルジー)+2'52"
10位ハンナ・ニルソン(スウェーデン、BTCシティ・ルブリャナ)+3'04"
11位與那嶺恵理(エフデジヌーヴェル・アキテーヌフチュロスコープ)+3'12"
text:So.Isobe
photo:Kei Tsuji / TDWsport
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の画像 エリート FLY(フライ) 550ml ボトル FDJ
メーカー:エリート
部品番号: FA003514368
価格:¥ 756
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メーカー: by Focus Home Interactive
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の画像 Tour De France (2009 Remastered Version)
メーカー: Parlophone UK
部品番号:
価格:

スペシャライズド フルサスXC Epicがフルモデルチェンジ、ハイコスパのアルミモデルChiselが新規登場

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スペシャライズドが誇るクロスカントリ―フルサスペンションバイク「EPIC」がフルモデルチェンジ。持てる全ての技術を投入し、最速を目指したレーシングモデルとして生まれ変わった。同時に新たにラインアップに加わったアルミのハードテールバイク「CHISEL」も紹介しよう。



スペシャライズド New EPIC

S-WORKS EPIC MEN CARBON SRAM 29S-WORKS EPIC MEN CARBON SRAM 29 (c)スペシャライズド・ジャパン
年々激しくなるクロスカントリーのレースシーン。ジープロードがメインとなり、登り区間だけが勝負を左右するようなコースだったのは遠い昔のこと。コースのほぼ全てはシングルトラックになり、ロックガーデンやドロップオフなど、テクニカルで激しいセクションが登り下り問わず現れ、より過酷なものとなっている。

現在のクロスカントリーレースで「最速」であるためには、登りと下り、どちらのシーンでも活躍できる万能性が求められる。それは選手にとっては、フィジカルとテクニックの双方を兼ね備えたライダーが最強であるということでもあり、バイクにとっては、軽く、トラクション性能に優れ、かつコントローラブルであることが求められている。

そんな理想のバイクとして、スペシャライズドが開発したのがこの新型EPICだ。ライダーファースト・エンジニアードを採用し、フレームデザインを一新した新型EPICのテーマは3つ。”LIGHTER/より軽く”、”SMARTER/より効率的に”、”FASTER/より速く”。この3つのテーマを満たすために、最新のテクノロジーが投入された。

S-Works Epicを駆るシモン・アンドレアッセン(デンマーク)S-Works Epicを駆るシモン・アンドレアッセン(デンマーク) (c)スペシャライズド・ジャパン
クロスカントリーレースで、依然として大きな勝負所であるのがクライミングセクションだろう。そこで速さに直結するのが軽量性だ。スペシャライズドは、FACT 12mカーボンファイバーを使用することで、大幅な軽量化を達成。さらに、リアエンドのピボットを廃するとともに、余分なカーブを廃し直線的なフレームワーク、最適なねじれ剛性を持つチューブ形状など、あらゆる部分で無駄な重量を削減することに取り組んだ結果として、350gほどの重量をセーブすることに成功したという。

第2のテーマ、効率性について、スペシャライズドが注目したのがサスペンションだ。路面に追従しつつ、ライダーの力を吸収しないサスペンションこそが最高の効率性を実現する。そのためにスペシャライズドが用意したのが、独自のBrainテクノロジーをさらに推し進めた、”Brain2.0"だ。

慣性バルブによってサスペンションの動きを制御するBrainテクノロジ―をさらに改良すべく、ロックショックスと共に開発したのがEpicに搭載されるBrain2.0だ。慣性によってバルブの開閉を制御し、路面からの入力とライダーからの入力を識別するというBrainの特性を最大限に活かすべく、スペシャライズドはBrainユニットをリアアクスルに移動させた。

S-Works EpicS-Works Epic (c)スペシャライズド・ジャパンBrainユニットがリアアクスル付近へと移動されたBrainユニットがリアアクスル付近へと移動された (c)スペシャライズド・ジャパン

ワールドカップレベルのバイクとして開発されたS-Works Epicワールドカップレベルのバイクとして開発されたS-Works Epic (c)スペシャライズド・ジャパン登りも下りも最速であることを目標としたS-Works Epic登りも下りも最速であることを目標としたS-Works Epic (c)スペシャライズド・ジャパン


入力に対して最も敏感なスポットであるリアアクスルへとセンサーを配置したことにより、劇的な性能の向上を見せたBrain2.0は、バンプの衝撃にシームレスで反応し、振動減衰性能がより一貫したものへと進化した。さらに、オイルホースはサスペンションリンクと一体化されているため、オイルがスムーズに流れるとともに、ショックユニットのフォルムもスマートになった。

さらに、レースバイクにとってはフレーム剛性も重要なファクターとなってくる。新型EPICは、複雑なカーボンピースを最適な位置へと配置することで、フロント周りの剛性を大幅にアップし、乗り味とコントロール性を大幅に向上させた。スペシャライズドが誇る”ライダーファーストエンジニアード”を採用することで、用意される3サイズごとに最適なチューブを使用し、共通のライドフィールを実現している。

S-WORKS EPIC MEN CARBON 29 FRAMESET グロスサテンチャコールティントカーボン/ブラックS-WORKS EPIC MEN CARBON 29 FRAMESET グロスサテンチャコールティントカーボン/ブラックS-WORKS EPIC MEN CARBON 29 FRAMESET サテングロスロケットレッド/ブラックS-WORKS EPIC MEN CARBON 29 FRAMESET サテングロスロケットレッド/ブラック
EPIC MEN EXPERT CARBON 29EPIC MEN EXPERT CARBON 29 (c)スペシャライズド・ジャパンEPIC MEN COMP 29EPIC MEN COMP 29 (c)スペシャライズド・ジャパン

最後のテーマ、”FASTER/より速く”への回答は、よりアグレッシブなコースへと合わせた新たなクロスカントリー専用ジオメトリー。リーチを伸ばし、ヘッドアングルを1.5度寝かせることで、急で荒れた下りをハイスピードで走っても扱いやすいバイクに仕上がっている。だが、単に安定性を求めたジオメトリーの変更ではない。フォークオフセットを45mmとし、安定感とクイックなハンドリング性能を合わせ持つジオメトリーへと辿りついた。

最新のクロスカントリーシーンに対応し、勝利を掴むためにリニューアルした新型EPICは3つの完成車と1つのフレームセットにて展開される。Fact12mカーボンを採用したフラッグシップであるS-Worksグレードはロックショックス SID WC Brainとスラム XX1 Eagle仕様の完成車とフレームセットが用意される。Fact11mカーボンを採用するミドルグレード、Expert、そしてダルージオスマートウェルドテクノロジーによって滑らかな溶接を実現したM5アルミフレームのCompの2種類の完成車も展開する。サイズはS、M、Lの3種類。



スペシャライズド S-WORKS EPIC MEN CARBON SRAM 29
カラー:サテングロスブラック/メタリックホワイトシルバー
サスペンション:ロックショックス SID WC Brain 29
コンポーネント:スラム XX1イーグル
サイズ:S、M、L
価 格:993,600円(税込)

スペシャライズド S-WORKS EPIC MEN CARBON 29 FRAMESET
カラー:グロスサテンチャコールティントカーボン/ブラック、サテングロスロケットレッド/ブラック
サスペンション:ロックショックス SID WC Brain 29
サイズ:S、M、L
価 格:594,000円(税込)

スペシャライズド EPIC MEN EXPERT CARBON 29
カラー:グロスゴールドフレーク/キャンディレッド/コスミックブラック
サスペンション:ロックショックス SID 29 w/ Brain,
コンポーネント:スラムGXイーグル
サイズ:S、M、L
価 格:561,600円(税込)

スペシャライズド EPIC MEN COMP 29
カラー:サテンスレート/ノルディックレッド
サスペンション:ロックショックス Reba RL 29
コンポーネント:スラムGX
サイズ:S、M、L
価 格:345,600円(税込)



スペシャライズド CHISEL

CHISEL MEN DSW EXPERT 29(グロスロケットレッド/ブラック)CHISEL MEN DSW EXPERT 29(グロスロケットレッド/ブラック) (c)スペシャライズド・ジャパン
スペシャライズドのMTBラインアップにおいて、過去にはCraveやStumpjumper HTといったモデルが担ってきたアルミハードテールバイク。近年アルミの加工技術もさらに進化し、レーシングバイクとしてアルミ素材が再度注目を集め始めた背景がある中で、スペシャライズドは同社オリジナルのテクノロジーであるDSW(ダルージオ・スマートウェルド)工法をMTBに初めて投入したモデルを開発。それが今回登場した「CHISEL」である。

DSW工法は単純なパイプを繋ぎ合わせていた従来の製作過程とは異なり、あらかじめハイドロフォーミングでチューブ端の接合部表面に谷間ができるよう整形し、その溝を埋めるように溶接をするというテクノロジー。これにより、溶接部を薄く軽く仕上げることができ、かつ接合部の位置を最も応力のかかる部分から離すこともできるという。DSWを用いたCHISELは従来モデルよりも200g以上軽量化しており、かつ剛性も高められることで、XCレースにも最適なマシンとして誕生している。

MTBとして初めてDSW(ダルージオ・スマートウェルド)工法を取り入れ、完成車でアンダー20万円を達成したMTBとして初めてDSW(ダルージオ・スマートウェルド)工法を取り入れ、完成車でアンダー20万円を達成した (c)スペシャライズド・ジャパン
今回XCレースジオメトリーに変更を加えたXC 29ジオメトリーが新たに採用。長めのトップチューブ、短めのヘッドチューブ、ややゆとりのあるフロントエンドとなることで、ダウンヒルでの安定性は大幅に高まり、ライダーへのフィット範囲も広くなったという。それでいて、登坂性能を犠牲にしない走りの軽さも獲得している。

フレーム素材は同社が誇るM5アルミ合金。ワイヤー類はフル内装される仕様で、ドロッパーシートポストにも対応するポートを予め備えているという。BBはねじ切りタイプで、ハブはフロント15×110mm、リア12×148mmのブースト仕様。ロックショックスのサスペンションフォークはSサイズで90mm、Mサイズ以上で100mmのトラベル量だ。

販売は完成車のみで行われ、スラムGXのワンバイコンポーネントとされたCHISEL DSW EXPERT 29と、シマノDeoreXTでフロントダブル仕様のCHISEL DSW COMP 29の2車種がラインアップ。カラーはそれぞれ2色ずつ展開され、サイズはS、M、Lの3つが揃う。


CHISEL MEN DSW EXPERT 29(サテングロスブラック/ブラック)CHISEL MEN DSW EXPERT 29(サテングロスブラック/ブラック) (c)スペシャライズド・ジャパンCHISEL MEN DSW COMP 29(グロスライトブルー/ロケットレッド)CHISEL MEN DSW COMP 29(グロスライトブルー/ロケットレッド) (c)スペシャライズド・ジャパン
CHISEL MEN DSW COMP 29(グロスチャコール/ブラック)CHISEL MEN DSW COMP 29(グロスチャコール/ブラック) (c)スペシャライズド・ジャパン
スペシャライズド CHISEL MEN DSW EXPERT 29
カラー:サテングロスブラック/ブラック、グロスロケットレッド/ブラック
サスペンション:ロックショックス Reba RL 29
コンポーネント:スラム GX
サイズ:S、M、L
価 格:199,800円(税込)

スペシャライズド CHISEL MEN DSW COMP 29
カラー:グロスライトブルー/ロケットレッド、グロスチャコール/ブラック
サスペンション:ロックショックス Judy 29
コンポーネント:シマノ DeoreXT
サイズ:S、M、L
価 格:167,400円(税込)

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の画像 エピック・コンテンツマーケティング 顧客を呼び込む最強コンテンツの教科書
投稿者:ジョー・ピュリッジ
出版社:日本経済新聞出版社 (2014)
装丁:単行本(ソフトカバー), 334 ページ
の画像 20世紀のクラシック・スペシャ
メーカー:ポリドール
部品番号:
価格:¥ 1,258
の画像 キャスト・アウェイ  スペシャ [DVD]
監督:
出演:
レーティング: NR - Not Rated

VigorelliのアルミモデルやマルチユースできるTutto チネリの2018年SSバイクラインアップ

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シングルスピードバイクを中心にギアードモデルも展開するイタリアの総合ブランド、チネリより2018年モデルが登場した。今回は中核モデル「Vigorelli」のアルミモデルや、Tutto、Gazetta、Tipo Pistaなどシングルスピードバイクを紹介しよう。



チネリ Vigorelli Alu
チネリ Vigorelli Aluチネリ Vigorelli Alu (c)チネリ
チネリがレッドフッククリテリウムに参戦するチーム「チネリ・クローム」からのフィードバックを受け開発を行ったシングルスピードバイクの中核モデル「Vigorelli(ヴィゴレッリ)」。トラックでシャカリキに踏み込むシチュエーションよりは、クリテリウムやアーバンコミューティングにマッチさせた1台である。

2017年まではクロモリフレームのみの展開だったが、2018年ラインアップにはMASHコラボモデルの後継バイクとしてVigorelliのアルミバージョンが加えられる。フレームセットとしては唯一のアルミモデル、シングルスピードバイクラインアップとしてはTipo Pistaと並ぶ2種類のうちの1モデルだ。

ドライブサイドと反ドライブサイドでロゴが異なるデザインだドライブサイドと反ドライブサイドでロゴが異なるデザインだ
素材をコロンバス エアプレーンというアルミに変更することで、スチールモデルよりも軽量に仕上がっていることが特徴。アルミモデルはスチールと比較し、素材の特性上、振動吸収性に引けを取るが、シートステーに潰し加工を施すことで、バランスを整えている。

また、アルミモデルにはスチール版にはなかったリアステーのブリッヂとブレーキ用ホールが設けられた。これによりカスタムパーツを使用せずともキャリパーブレーキの取り付けが行えるようになったのは嬉しいニュースだ。また、リアブレーキワイヤーはフレームに内装することが可能となっている。フォークはスチール同様で、キャリパーブレーキ対応。

素材はコロンバスのエアプレーン素材はコロンバスのエアプレーンフォーク内側にはVIGORELLIの文字があしらわれるフォーク内側にはVIGORELLIの文字があしらわれる


ジオメトリーには大きな変更を加えていないため、クリテリウムやアーバンコミューティングに最適な走行性能はそのまま備えられている。デザインは白ベースにチネリクロームのチームカラーを随所にあしらう爽やかな雰囲気を演出する。サイズはXS、S、M、L、XLという5種類で、価格は105,000円(税抜)。

本国担当のパオロさんによるプレゼンで発表されたVigorelli Alu本国担当のパオロさんによるプレゼンで発表されたVigorelli Alu
チネリ Vigorelli Alu
素 材:コロンバス エアプレーン(アルミ)
サイズ:XS、S、M、L、XL
カラー:ホワイトチーム
価 格:105,000円(税抜)



チネリ Tutto
チネリ Tuttoチネリ Tutto (c)チネリ
Mash Workとしてラインアップされていたモデルがリニューアルし「Tutto」というモデル名に変更された。"Tutto"とは「全て」という意味を持ち、その語意の通り、Tuttoはアーバンコミューティングからグラベルライディングまでこなせるマルチパーパスに利用できることが特徴だ。

フォークのグラデーションが特徴のTuttoフォークのグラデーションが特徴のTuttoグラベルまでカバーできる理由は、前後ともに35Cまでのタイヤを装着できるクリアランスやカンチブレーキ台座が採用されているため。フロントラックを取り付けることも可能となっており、ツーリング車としてもカスタマイズすることができる。

Tuttoはマットブラックのフレームに、パープルとオレンジのグラデーションが綺麗なフォークを組み合わせるデザイン。チネリロゴが大胆にあしらわれたフォークがアクセントとなっている。サイズはS、M、L、XLという4種類。価格は90,000円(税抜)。

チネリ Tutto
素 材:コロンバス クロモリ
サイズ:S、M、L、XL
カラー:ノットグレー
価 格:90,000円(税抜)



チネリ GAZZETTA
チネリ Gazzetta(ビヨンド・ブルー・アイズ)チネリ Gazzetta(ビヨンド・ブルー・アイズ) (c)チネリ
イタリアで最も有名なスポーツ紙ガゼッタ・デッロ・スポルトにちなんでネーミングされたシングルスピードバイクが「GAZZETTA」だ。昨年までは完成車のみの販売だったが、今年よりフレームセットの販売が開始される。

GAZZETTAは丸パイプのクロモリチューブで組み合わされたクラシカルなフレーム。ロゴデザインも70年代や80年代をイメージさせるものとされており、スタイルを重視した1台に仕上げられている。シンプルなパーツ構成となるシングルスピードバイクのため、フレームのシンプルさも際立つはずだ。

フレームはビビッドすぎず、落ち着きすぎない、丁度よい塩梅のライトブルーで彩られている。サイズはXS、S、M、Lという4種類。価格は60,000円(税抜)だ。

チネリ GAZZETTA
素 材:コロンバス クロモリ
サイズ:XS、S、M、L
カラー:ビヨンド・ブルー・アイズ
価 格:60,000円(税抜)



チネリ Tipo Pista
チネリ Tipo Pista(パープルレイン)チネリ Tipo Pista(パープルレイン) (c)チネリ
トラックからアーバンライドまで幅広いシチュエーションに対応できるアルミモデルがTipo Pistaだ。このモデルは、前後にキャリパーブレーキが標準装備された完成車で販売される。また、ホイールがフリーと固定ギアの両方が装着できる両切りハブとなっており、初めてのピストバイクとしてピッタリな1台だ。完成車スペックでは固定ギアのみ装備している。

そんなTipo Pistaに濃紺のベースカラーにブルーのロゴをあしらったパープルレインというニューカラーが登場する。サイズはXS、S、M、Lという4種類で、価格は105,000円(税抜)。

Tipo Pistaはこれからシングルスピードを始めようという方にピッタリな1台Tipo Pistaはこれからシングルスピードを始めようという方にピッタリな1台濃紺とブルーのコントラストが映えるデザイン濃紺とブルーのコントラストが映えるデザイン


チネリ Tipo Pista
素 材:コロンバス アロイ・カスタム
サイズ:XS、S、M、L
カラー:パープルレイン
価 格:105,000円(税抜)

DOGMAに秘められた美しさへの熱い想い イタリアンデザインの競演となったピナレロ2018モデル展示会

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東京、代官山にてピナレロ2018モデル展示会が開催された。1月にデビューしたDOGMA F10をはじめ、GANシリーズのニューカラーなど、ピナレロの2018年製品ラインアップが一挙に並んだ展示会の模様をお伝えしよう。



多くの関係者が来場したピナレロ2018モデル展示会多くの関係者が来場したピナレロ2018モデル展示会
東京のお洒落タウンとして原宿・表参道エリアに次ぐ知名度を誇る代官山にて開催されたピナレロ2018年モデル展示会。ガラス張りで洗練された会場の中には1月に発表されたフラッグシップモデル、DOGMA F10をはじめ、全く新しいカラーリングを施したGANシリーズなどピナレロの2018年バイクラインアップが一挙に揃う場となった。

例年、ショップの定休日などが多い水曜日に行われていたピナレロ展示会だが、今回は変則的に金曜日に開催。その理由は翌土曜日に一般ユーザー公開日を設け、エンドユーザーの方々に実際に2018年モデルを見てもらうことで、日曜日には馴染みのショップでバイク購入の商談に繋げようという試みだ。

先日イタリアから届いたばかりというジロ・デ・イタリア100回記念DOGMA F100先日イタリアから届いたばかりというジロ・デ・イタリア100回記念DOGMA F100F100のロゴが高らかに入るF100のロゴが高らかに入る

玄関口ではチームウィギンスカラーのDOGMA F10がお出迎え玄関口ではチームウィギンスカラーのDOGMA F10がお出迎え
会場の中に入ると、チームウィギンスカラーのDOGMA F10と先日イタリアより届いたというジロ・デ・イタリア100周年を記念したリミテッドモデル DOGMA F100がお出迎え。更に会場内にはDOGMA F10の全カラーラインアップが一堂に会し、関係者も入念に話題のトップモデルをチェックしていた。

開場後しばらくして始まったのがプレゼンテーション。ここではDOGMA F10やピナレロの2018モデルラインアップの紹介、ピナレロ本社のセールスマネージャーであるルチアーノ・フサポーリ氏による挨拶や、東レの担当者によるカーボン素材講座などが行われた。

プレゼンテーションではピナレロブランドの存在価値が語られたプレゼンテーションではピナレロブランドの存在価値が語られた
DOGMA F10を説明するのあたって、今までのこれまでのDOGMAの歴史をおさらいDOGMA F10を説明するのあたって、今までのこれまでのDOGMAの歴史をおさらいピナレロ本社のセールスマネージャーであるルチアーノ・フサポーリ氏も来日ピナレロ本社のセールスマネージャーであるルチアーノ・フサポーリ氏も来日


ルチアーノ氏は「ピナレロは常に新しいモデルを開発し挑戦し続けている。その姿勢を表すようにDOGMA F10が1月に登場し、その真価を発揮する一番大きな大会ツール・ド・フランスも間もなく始まる。過去5年間で4回の勝利を実現している我々ピナレロとチームスカイは更なる連勝を目標としてツール・ド・フランスに挑む」とコメント。ピナレロの挑戦する姿勢を示した。

続いて行われたのが、ツール・ド・フランスを2度制したDOGMA F8を元に全てを刷新したDOGMA F10の紹介。1月に発表されたこの新たな旗艦は、本来であれば他社のモデルと同様に、ツール・ド・フランスの時期にローンチをする予定だったという。それが昨年の年末にチームスカイの選手に乗せたところ、1月のシーズンインからすぐ使いたいと言う程の評価を受け、発表に踏み切ったのだという裏話も披露された。

チームスカイカラーのDOGMA F10チームスカイカラーのDOGMA F10DOGMA F10の改良箇所を事細かに示した展示もDOGMA F10の改良箇所を事細かに示した展示も

DOGMA F10と相性の良い一体型ハンドルTALON AeroDOGMA F10と相性の良い一体型ハンドルTALON Aeroワイヤーが内蔵出来るようになっているワイヤーが内蔵出来るようになっている


強く、軽く、エアロにを開発コンセプトに正統進化を遂げたDOGMA F10。素材には東レのT1100G 1Kカーボンを使用し、ダウンチューブにくぼみを設けた「Concaveダウンチューブ」やフォーク先端のフォークフラップなどF8に対して1kmあたり0.8秒の短縮という空気抵抗の削減を実現しているのが特徴だ。詳細なテクノロジーについてはシクロワイアードでも特集記事インプレッションを行っているので、そちらを参照してもらいたい。

フォーカスされやすいテクノロジー部分に加え、今回はその形状とカラーリングの美しさに付いても言及された。特に重視されたのはフォルムの美しさ。CFD解析で割り出した形状を3Dプリンターで出力し、最後には熟練の職人の手によって、サンドペーパーでフレームを削り、美しさを追求することで最終形として完成したという。自転車の美しさを熟知するイタリアンブランドだからこそ出来る造形美へのこだわりが窺えるエピソードだ。

バイクと同じカラーを纏ったサイクルジャージバイクと同じカラーを纏ったサイクルジャージMOSTブランドのバーテープなどアクセサリーも展示MOSTブランドのバーテープなどアクセサリーも展示


フレームの塗装もイタリア国内で行われ、ムラのない美しい塗装が施されるという。最後はバフで磨き上げた後に出荷される為、販売店には白い粉が乗ったまま届く場合があるが、しっかり仕上げ作業をしている証拠のため、気になった時はパーツクリーナーで拭いてほしいという小話も。

また、DOGMA F10で初めて採用された、MAGIXと呼ばれるドット柄のカラーリングは、ピナレロのデザインに対する先見の明が現れているという。他にはない独創的なデザインと思えるが、1年後、2年後には他社も似たようなデザインを採用する可能性が十分にあると、ピナレロのデザインに対する自信も窺えた。なお、DOGMA F10のMAGIXは極薄のデカールをイタリアの職人が貼るため、凹凸がない素晴らしい仕上がりを見せるという。

GANがバーコードデザインを採用したニューカラーになり登場GANがバーコードデザインを採用したニューカラーになり登場
フレームの各所にバーコードデザインを配置フレームの各所にバーコードデザインを配置2つの色を使用したバーコード柄を随所に使用したデザイン2つの色を使用したバーコード柄を随所に使用したデザイン


その後はピナレロ2018モデルの紹介に続く。今回の展示会で初めての披露となったのが、GANシリーズのニューカラー達だ。GAN、GAN Sについてはシートチューブやトップチューブなどにバーコードの様な模様を配置。幾何学的な印象を受ける、今までにない革新的なデザインを施し、ピナレロのデザイン力の高さをミドルグレードでも示した。

GANシリーズのトップモデルに当たるGAN RSには、DOGMA F10と同様のMAGIXデザインを採用。上位モデルの風格漂うプレミアムでレーシーな装いとなった。なお、GAN RSのMAGIXデザインはイタリア国外で作業されるため、触ってみるとDOGMAF 10とは異なり少し凹凸が感じられる。こういったところでもコストによる差別化が図られている訳だが、裏を返せばトップモデルに対するこだわりを感じるところ。

RAZHAにはエリア・ヴィヴィアーニがリア五輪で駆けたBOLIDE HRと同じブルーメタリックが登場RAZHAにはエリア・ヴィヴィアーニがリア五輪で駆けたBOLIDE HRと同じブルーメタリックが登場GAN RSはDOGMA F10と同様のMAGIXデザインを採用GAN RSはDOGMA F10と同様のMAGIXデザインを採用

ギラギラと輝くブルーが所有欲を湧かせてくれるギラギラと輝くブルーが所有欲を湧かせてくれるイタリア空軍の国籍マークが入るITALIAはフレームセット限定カラーイタリア空軍の国籍マークが入るITALIAはフレームセット限定カラー


その他のモデルでは、GAN DISKのブレーキが機械式から油圧式にグレードアップしたことや、カーボンエントリーグレードのRAZHA KがANGLIRUと名前を変える。中でも注目を浴びていたのがリオ五輪で金メダルを獲得したエリア・ヴィヴィアーニのBOLIDE HRと同じ色に染まったRAZHA。ピナレロ本社にリクエストしたというイタリアンザフィーラブルーのRAZHAは、先日行われた関西展示会でも非常に好評だったという話。ヘッドチューブにはイタリアン空軍のラウンデルが入るのも格好良い。

DOGMA F10をラインアップに加え、更なる進化を遂げるピナレロ。先日開幕したツール・ド・フランスでもクリス・フルームやチームスカイによってその優位性を発揮してくれることだろう。その活躍に目が離せない。

text:Kosuke.Kamata
photo:Naoki.Yasuoka,Kosuke.Kamata
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出版社: LIXIL出版 (2013)
装丁:単行本, 63 ページ
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出版社:マイナビ出版 (2016)
装丁:単行本(ソフトカバー), 260 ページ

バルギル「信じられないほどファンタスティックな勝利」フルーム「総合争いはまだ決まったわけじゃない」

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今大会最後の山岳ステージで2度目のステージ優勝を飾ったワレン・バルギル(フランス、チームサンウェブ)。マイヨジョーヌを守り続けるフルームや、それを追うバルデらのコメントをお届けします。



ステージ優勝を飾ったワレン・バルギル(フランス、チームサンウェブ)

ステージ2勝目を飾ったワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)ステージ2勝目を飾ったワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ファンタスティックな勝利で、未だに信じられないよ。まさか2勝目を挙げられるなんて本当に夢みたいだ。総合でのタイム差を少しでも縮められればと思って、フィニッシュまで自分のペースをキープし続けたんだ。フルームから離れずに走っていたけれど、まだ脚に余裕があると感じたんだ。これでチームにとっては4つ目のステージ優勝になる。本当に信じられないくらい素晴らしいツールになっている。

2位に入ったダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)

バルギルに交わされたダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)バルギルに交わされたダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) photo:Makoto.AYANO
今日のステージのために僕らはしっかりと準備してきたし、実際に素晴らしい結果を残すことが出来たと思っている。ステージ優勝できなかったことは残念だけれど、ステージ2位という結果も僕にとっては十分すぎるほど。ほとんど優勝したも同然の結果だと思っているんだ。

マイヨジョーヌを守り続けるクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

バルデから4秒失いながらもマイヨジョーヌを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)バルデから4秒失いながらもマイヨジョーヌを守ったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport今日のステージで僅かながらタイム差を付けることが出来たのは良かった。特にウランに対して2秒のアドバンテージを獲得できたのは、大きいよ。彼はタイムトライアルでもっとも強力なライバルになるだろうから。そして、チームがイゾアールで見せてくれた素晴らしいパフォーマンス、そしてランダが総合でも有力なライバルとして存在することで戦略に幅を持たせることが出来ることも、僕にとっては大きな武器になる。

ウランに対してタイム差をもっと付けたかったけれども、彼は差を詰めることに成功したね。ウランとバルデはとてもいいレース運びをしているね。特にバルデはボーナスタイムを獲得できたから、彼にとっては成功したステージになったのではないだろうか。
同タイムでフィニッシュするロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)とクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)同タイムでフィニッシュするロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)とクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
きっとマルセイユへのタイムトライアルまで、総合争いは分からないだろう。まだレースは終わっていないし、総合トップには多くの選手がひしめき合っている。ここからのステージを上手くこなすことが出来れば、タイムトライアルはきっと僕にとって有利に働くはず。でも、何が起きるのかは分からない。

ボーナスタイムを獲得したロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)

このイゾアールで、劇的な走りを見せつけて逆転に持ち込むことを皆夢見ていた。でも、実際にそれは夢のようなもの。僕が本当に成し遂げたかったのは、ただ一つの鋭く、効果的なアタックだった。イゾアールは向かい風で、チームスカイは多くのアシストを残していたけれど、僕らのチームは勝利のために素晴らしい働きをしてくれた。

マイヨジョーヌ集団からアタックするロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)マイヨジョーヌ集団からアタックするロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール) photo:Makoto.AYANOフルームを振り切ることは出来なかったけれど、自分の走りにはとても満足している。全てを出し切ったけれど、まだあと少しレースは続くから、集中力を切らさずに慎重に走っていく必要がある。タイムトライアルへのモチベーションはかなり高いよ。最後にタイムトライアルで締めくくられるのは、とても良いレイアウトだと思っている。まだ逆転するチャンスは残されているから、残りの日々も今日の様な高いモチベーションで走り続けるさ。

昨ステージに続き遅れてしまったファビオ・アル(イタリア、アスタナ)

超級山岳イゾアール峠でメイン集団から脱落するファビオ・アル(イタリア、アスタナ)超級山岳イゾアール峠でメイン集団から脱落するファビオ・アル(イタリア、アスタナ) photo:Tim de Waele / TDWsportマイヨジョーヌを獲得したステージのあたりで体調を崩しており、何度もタフな展開に苦しめられた。とにかく、今日はベストを尽くして戦ったし、100%の力を発揮することが出来た。とにかくこのステージを無事にこなせたこと、そしてまだ総合成績で上位につけていることは喜ぶべきことだろう。病気にかかってしまったけれど、このツールをあきらめはしない
よ。

逃げ続けたアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)

先頭でイゾアール峠を登るアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ)先頭でイゾアール峠を登るアレクセイ・ルツェンコ(カザフスタン、アスタナ) photo:Tim de Waele / TDWsport今日は調子の良さを感じたから、積極的なレース展開に持ち込んだ。多くのアタックがヴァール峠で繰り広げられ、先頭4名の中に入ることが出来た。ダウンヒルを経てイゾアールに登る直前には2人になり、登り始めたら一人になった。最後の登りは本当に厳しかったね。持てる力を出し尽くしたけれど、アタプマたちに捕まってしまった。最後の区間でアルのグループに合流し、全力で彼をサポートしたんだ。

アタックを試みたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)

イゾアール峠でアタックしたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)イゾアール峠でアタックしたアルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード) photo:Tim de Waele / TDWsport
昨日、追走したおかげで、今日は悪い感覚が1日通してあった。終盤では誰もが疲れている事は知っていたけど、残念ながら昨日のような脚は残っていなかった。バルギルは何度もペースを変える走りをしていて、その動きに対応するためにバウケ(モレマ)と出来る限りの準備をしていたけど、彼はとても強かった。素直に彼をおめでとうと言いたい。

自分が望んでいたツールにならなかったことは事実。走りに満足しているかではなく、勝利について話すならば、今年は最悪のツールだったかもしれない。昨日、長い距離のアタックを仕掛けた時、観客たちが支えてくれたし、愛情のある応援をしてくれた。スポンサーが勝ちを望んでいる事は知っているが、宣伝にはなった。昨日は誰もがサイクリングを楽しんでいたし、その1人になれたことに誇りに思う。

ナイロ・キンタナ(コロンビア、モビスター)


11位でイゾアール峠山頂フィニッシュに向かうナイロ・キンタナ(モビスター)11位でイゾアール峠山頂フィニッシュに向かうナイロ・キンタナ(モビスター) photo:Makoto.AYANO戦えるだけの脚が無ければ、望むような結果を得ることは不可能だ。チームとしては、可能な限り前方で展開することにした。皆にも明らかなとおり、僕は万全の状態じゃない。でも、今の身体の状態を言葉で表現するのは難しいんだ。ただ一つ言えることは、フィニッシュするために持てる全ての力と勇気を振り絞ったということだ。僕らの今の目標は、皆で無事にパリまで走り切ることだよ。

グルペットでフィニッシュした新城幸也(バーレーン・メリダ)

イゾアール峠フィニッシュに向かう新城幸也(バーレーン・メリダ)イゾアール峠フィニッシュに向かう新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Makoto.AYANO今日で山岳ステージが全て終わった。残すは明日のアップダウンステージと個人タイムトライアルとシャンゼリゼの3つ。逃げるなら今日が最後のチャンスだったが、50人に入り損ねた。でも、逃げ集団はアタック合戦で落ち着きが無かったみたいで、かなり消耗戦だったらしい。アージェードゥゼールのペースアップでメイン集団から遅れ、下りで復帰を試みたが届かず、グルペットでゴールした。

昨日、今日でかなり消耗するステージとなった。もう少しで2017年のツールが終わる。そう思えば痛い脚もどうにか動く。最後まで諦めず勝利を目指して残りステージ頑張ります。(チームユキヤ通信より)

text:CW編集部

大会最後の山岳決戦終了 名峰イゾアールを終えてもなおタイム差23秒

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独特な景観が広がるイゾアール峠で繰り広げられた大会最後の山岳バトル。バルギルが山岳王としての威厳を示し、バルデのアタックに観客が沸き、アルの失速にイタリア人は肩を落とした。ツール第18ステージを振り返ります。


タグホイヤーCEOからスイス選手権TT優勝記念時計をプレゼントされるシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング)タグホイヤーCEOからスイス選手権TT優勝記念時計をプレゼントされるシュテファン・キュング(スイス、BMCレーシング) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨジョーヌを追うミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)マイヨジョーヌを追うミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ら4賞ジャージが先頭に並ぶクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)ら4賞ジャージが先頭に並ぶ photo:Kei Tsuji / TDWsport
ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)のマイヨアポワワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)のマイヨアポワ photo:Kei Tsuji / TDWsport
暑さ対策に保冷ボトルを使用するチームスカイ暑さ対策に保冷ボトルを使用するチームスカイ photo:Kei Tsuji / TDWsport
ツールの中で最もアイコニックな(象徴的な)登りと言われるイゾアール峠。岩肌が露出した独特の景観が広がる「カスデゼルト」は圧巻で、どこからどう撮っても絵になる。今大会最後の山場だが、「カスデゼルト」は下り区間を含むため残り1.5〜2.5kmは観客の侵入が禁止された。主催者は選手の安全を確保するためと説明するが、実際はフォトグラファーに良い景色を撮らせるための措置であるようにも思う。

イゾアール峠はこれまでツールには34回登場しているが、山頂フィニッシュを迎えるのは今回が初めて。山頂付近のスペースが限られていることがその要因の一つで、フィニッシュエリアには表彰台や実況ブースがコンパクトに置かれただけ。チームバスの駐車場は10km下山した地点で、プレスセンターなどのレース拠点はさらに下ったブリアンソンの街に設置された。

イゾアール峠に集まった観客の半分以上がイタリア人なんじゃないかと思うほどイタリア人率が高い。それもそのはずイゾアール峠の登り口までイタリア国境から30分もかからない。彼らのお目当はもちろんファビオ・アル(イタリア、アスタナ)だが、スマートフォンでライブストリーミングを見ていた観客たちはイタリアチャンピオンの失速にため息をついた。

大会最終週にかけてツールには遥々サルデーニャ島から駆けつけたアルの家族が帯同中。アルの父親アレッサンドロさんは膝の怪我から復帰して今の状態に至るまでの息子の奮闘に感銘を受けたという。総合争いから脱落しつつあることを悔しがっていたが、できるだけのことをやればいいんだという親心も。そのアルは気管支炎が原因でコンディションを落としており、総合順位は5位にダウンした。アルは2018年に向けて移籍が噂される選手の一人だ。

ちなみに山頂に集まったサイクリストたちが下山可能なのは大会関係車両が全て下山してから。サイクリストたちを閉じ込めるフランス警察に向けてイタリア語のブーイング大合唱が始まった。やがて強行突破するサイクリストが現れ始め、制止もきかずになし崩し的に下山が始まる。ハンドリングがおぼつかないサイクリストたちがチームバスやチームカー、大会関係車両と混じって下山することになり、おかげで麓のブリアンソンまで大渋滞。選手たちのホテル到着が遅れる要因になった。

イゾアール峠イゾアール峠 photo:Kei Tsuji / TDWsport
イゾアール峠の風になびくサルデーニャの旗イゾアール峠の風になびくサルデーニャの旗 photo:Kei Tsuji / TDWsport
リッチー2018リッチー2018 photo:Kei Tsuji / TDWsport
イゾアール峠のモニュメントに献花するベルナール・テヴネ氏イゾアール峠のモニュメントに献花するベルナール・テヴネ氏 photo:Kei Tsuji / TDWsport
先頭でイゾアール峠を目指すダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ)先頭でイゾアール峠を目指すダルウィン・アタプマ(コロンビア、UAEチームエミレーツ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
先頭アタプマを追うワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)先頭アタプマを追うワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
イゾアール峠の「カスデゼルト」に差し掛かる選手たちイゾアール峠の「カスデゼルト」に差し掛かる選手たち photo:Kei Tsuji / TDWsport
サンウェブの勢いが止まらない。25歳のワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)と26歳のマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)がそれぞれステージ2勝ずつを飾り、マイヨアポワとマイヨヴェールを獲得している。

第18ステージの中盤に早くも最終的な山岳賞獲得を確定させたバルギルは、マイヨアポワに飽き足らず、総合順位を一つでも上げるためにアタック。その結果、総合9位へのジャンプアップを達成するとともに、イゾアールの美しい勝利がついてきた。もうすでに逆転不可能なポイント差がついているため、リタイアしない限りバルギルはパリでマイヨアポワを受け取る。

バルギルはイゾアール峠(全長14.1km/平均7.3%)を38分02秒で登りきった。平均スピードは22.3km/hで、VAM(平均登坂速度)は1530m。残り5kmに限定すると13分51秒(平均21.5km/h)。バルギルは残り5kmの時点ですでに先行していたため、STRAVAにアップされたデータによると、ステージ3位のロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)のほうが2秒早い13分49秒(平均21.6km/h)をマークしている。

そしてSTRAVAのKOMランキングでバルギルとバルデに次ぐタイムを出したのが、午前中に行われたラ・コルス・バイ・ル・ツール・ド・フランス優勝者のアンネミエク・ヴァンヴルーテン(オランダ、オリカ・スコット)。3週間を走った選手とフレッシュな選手を比べるのは酷だが、15分34秒(平均19.2km/h)というヴァンヴルーテンのタイムは、例えば総合11位ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)よりも速い。

イゾアール峠の「カスデゼルト」を走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)イゾアール峠の「カスデゼルト」を走るクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
ダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)のために隊列を組むBMCレーシングダミアーノ・カルーゾ(イタリア、BMCレーシング)のために隊列を組むBMCレーシング photo:Kei Tsuji / TDWsport
イゾアール峠を登るティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)らイゾアール峠を登るティエシー・ブノート(ベルギー、ロット・ソウダル)ら photo:Kei Tsuji / TDWsport
イゾアール峠の「カスデゼルト」を通過するグルペットイゾアール峠の「カスデゼルト」を通過するグルペット photo:Kei Tsuji / TDWsport
グルペットでイゾアール峠を登る選手たちの表情には、最後の山場を乗り越えた達成感が見て取れた。フォトグラファーを見つけてはピースする選手が続出。目の前に広がる「カスデゼルト」の景色を見て「月に着いたぞー!」と笑いながらイゾアール峠の頂上を目指した。ただ、4名でグルペット最終便を形成したコフィディスのブアニ、シモン、ルモワンヌ、ラポルトの中にはピースも笑いもなかった。

クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)がバルデに対して23秒のリードで23kmの個人タイムトライアルに挑む。単純計算で仮にフルームがバルデから1kmにつき1秒失えば総合タイムは並ぶ。よほどの不調に見舞われない限りフルームがタイムを失うことは考えにくいが、メカトラ一つで十分に逆転が起こるタイム差だ。

ちなみに大会初日の14km個人タイムトライアルでフルームはバルデから39秒奪っている。フルームが最も警戒する29秒差のウランは51秒遅れだった。逆に言うと、バルデとウランは第2ステージから第18ステージまでをフルームより短い時間で走っていることになる。つまりフルームは初日にためた貯金を崩しながら今に至る。

ツールはアルプスに別れを告げ、最終決戦地マルセイユに向かって南下する。翌日は今大会最長の222.5kmコース。マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)のいないチャンスを狙って他のスプリンターチームが徹底的にレースをコントロールすると思われるが、逃げ切り勝利を狙うアタッカーにとってのラストチャンスでもある(まだステージ優勝を手にしていないのは11チーム)。

南から強めの風が吹く予報が出ている。またマイヨジョーヌチームが動くかもしれない。

さりげなくピースする新城幸也(バーレーン・メリダ)さりげなくピースする新城幸也(バーレーン・メリダ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
イゾアール峠の下り区間でピースサインするマークス・ブルグハート(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)イゾアール峠の下り区間でピースサインするマークス・ブルグハート(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
イゾアール峠の「カスデゼルト」に差し掛かるグルペットイゾアール峠の「カスデゼルト」に差し掛かるグルペット photo:Kei Tsuji / TDWsport


text&photo:Kei Tsuji in Briancon, France
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の画像 ツール 伝説の峠
投稿者:安家 達也
出版社:未知谷 (2005)
装丁:単行本, 286 ページ
の画像 ツール100話―ツール・ド・フランス100年の歴史
投稿者:安家 達也
出版社:未知谷 (2003)
装丁:単行本, 299 ページ
の画像 ツール・ド・フランス物語
投稿者:デイヴィッド・ウォルシュ
出版社:未知谷 (1997)
装丁:単行本, 349 ページ

スペシャライズドの2018年モデルが一挙に集まるライダーイベント 9月15、16日に東京都新宿で開催

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スペシャライズドが2018年モデルのバイク全車種・全カラー、エキップメントを集めたライダーイベント「SPECIALIZED WAY"THE FUTURE IS HERE"」を9月15、16日(金、土)に東京都新宿で開催する。バイク等の展示以外にも様々な催しを計画しており、入場無料だ。以下、同社のメールマガジンより紹介。



SPECIALIZED WAY"THE FUTURE IS HERE"SPECIALIZED WAY"THE FUTURE IS HERE" (c)スペシャライズド・ジャパン
2018年モデル ライダーイベント SPECIALIZED WAY"THE FUTURE IS HERE"開催

SPECIALIZED DAYSから5年。スペシャライズド・ジャパンは来る2017年9月15日(金)~16日(土) 東京・新宿にてライダーのためのイベント「SPECIALIZED WAY "THE FUTURE IS HERE"」を開催いたします。

2018年モデルのバイク全車種・全カラー、エキップメントをご覧いただけるだけでなく、スペシャライズドが提案する新しいフィッティングテクノロジーやショッピングエクスペリエンス、その他楽しい催しを計画しています。バイクやエキップメントのご購入をお考えの方はちろん、ご購入予定のない方も十分に楽しんでいただける内容となっていますので、ご家族、お友達、ライド仲間とお誘い合わせの上、是非ご来場ください。

イベントで行われる催しの詳細につきましては随時アップデートいたします。スペシャライズド公式ブログやSNS、メールマガジンをご確認ください。

SPECIALIZED WAY "THE FUTURE IS HERE"
日時:2017年9月15日(金)17:30~20:00
       9月16日(土)9:00~17:00
場所:ベルサール新宿セントラルパーク
   〒160-0023 東京都新宿区 西新宿6-13-1
   新宿セントラルパークシティ内 住友不動産新宿セントラルパークビル1F A HALL
・入場無料
・事前登録サイトを準備中です。詳細が決まり次第スペシャライズド公式ブログやSNS、メールマガジンにて発表いたします。

リゴベルト・ウランのキャノンデール SUPERSIX EVO Hi-mod

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第18ステージ時点で総合3位につけるリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)のバイクを紹介。回転系チューニングが施されたキャノンデールのフラッグシップモデルSUPERSIX EVO Hi-modにフォーカスする。



リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)が駆るキャノンデール SUPERSIX EVO Hi-modリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)が駆るキャノンデール SUPERSIX EVO Hi-mod
第9ステージでの勝利以来、総合争いに名を連ねているリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)が駆るのは、キャノンデールのフラッグシップモデルであるSUPERSIX EVO Hi-mod。各種性能のバランス向上を目指し、キャノンデールの伝統的を受け継ぐ端正なスタイルを誇るオールラウンダーだ。

昨年のツール・ド・フランスに合わせてデビューしているため、この第2世代SUPERSIX EVO Hi-modにとってツールは2回目。キャノンデール・ドラパックはディスクブレーキ搭載のTTバイク「SUPER SLICE」を投入しているが、ノーマルバイクはリムブレーキモデルのみを使用している。

サドルはANTARESカーボンレールモデル「R1」をチョイスサドルはANTARESカーボンレールモデル「R1」をチョイスハンドル周りはFSAで統一され、カーボンステムにアルミハンドルという組み合わせハンドル周りはFSAで統一され、カーボンステムにアルミハンドルという組み合わせ

チェーンは耐久距離320kmかつ超低摩擦のUFOチェーンを使用チェーンは耐久距離320kmかつ超低摩擦のUFOチェーンを使用セラミックスピード製のBBが投入されている模様セラミックスピード製のBBが投入されている模様 photo:Makoto.Ayano


コンポーネントはシマノDURA-ACE R9150を基本に、クランクセットはSRM搭載のキャノンデールSISL2クランクアーム+FSA K-Forceのチェーンリングという組み合わせ。取材時は山岳ステージを控えていたためか、チェーンにはセラミックスピードがリリースする特殊コーティングによる低摩擦チェーン「UFOチェーン」がセッティングされていた(他のステージでは一般的なDURA-ACEチェーンを使っていることが確認できた)。

ハンドル周りはFSAのOS-99カーボンステムにアルミのENERGY COMPACTハンドルバーという一般的なアッセンブルで、シートポストは同じくFSAのK-Forceでまとめられる。サドルはフィジークのANTARES R1で、バーテープも同社のSUPER LIGHT Tacky Logoと思われる製品を使用する。

ホイールはマヴィックのCosmic UltimateホイールはマヴィックのCosmic Ultimate何故かセラミックスピードデカールは半分だけ。セラミックベアリング化などチューニングが施されているのだろう何故かセラミックスピードデカールは半分だけ。セラミックベアリング化などチューニングが施されているのだろう

ウランのバイクにはコンチネンタルのCOMPETITION PRO LTDと思われるタイヤがセットされていたウランのバイクにはコンチネンタルのCOMPETITION PRO LTDと思われるタイヤがセットされていた photo:Makoto.Ayano他メンバーのタイヤはヴィットリアの旧型CORSAと思われるもの他メンバーのタイヤはヴィットリアの旧型CORSAと思われるもの photo:Makoto.Ayano


足周りはキャノンデールと深い関係を持つマヴィック。キャノンデールチームにはプロトホイールが投入されることが多いが、今回は市販品と思われるCosmic Ultimateを平坦、山岳に問わずどのステージでも使用している。ハブにはセラミックスピード社の「SPEED」の部分だけになったデカールが貼られているため、セラミックベアリング化など何かしらのチューニングを行っている可能性がある。

ウランのタイヤはYksion チューブラーの表記があるものの、トレッドパターンから判断するにコンチネンタルのCOMPETITIOM PRO LTD。他メンバーはYksionロゴが入るヴィットリアの旧型Corsaと思われるタイヤで統一されているため、ウランだけ特別仕様のようだ。

第9ステージにてワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)とのスプリントに勝利したリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)第9ステージにてワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)とのスプリントに勝利したリゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック) photo:Tim de Waele / TDWsport
text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.Ayano
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の画像 ウラニウム戦争 核開発を競った科学者たち
投稿者:アミール・D・アクゼル
出版社:青土社 (2009)
装丁:単行本, 320 ページ
の画像 戦慄!プルトニウム人間 [DVD]
監督:バート・I・ゴードン
出演:グレン・ランガン, キャシー・ダウンズ, ウィリアム・ハドソン, ジェームズ・シーイ, ラス・ベンダー
レーティング: NR - Not Rated

米オース社が来季スリップストリームスポーツのデジタルパートナーに

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7月21日、キャノンデール・ドラパックを運営するスリップストリームスポーツが、来季ヤフーを買収して生まれた米ニューヨーク拠点のデジタル広告企業「Oath(オース)」をデジタルメディアスポンサーに加えると発表した。



ツール総合3位(7月21日現在)につけるリゴベルト・ウラン(コロンビア)擁するキャノンデール・ドラパックツール総合3位(7月21日現在)につけるリゴベルト・ウラン(コロンビア)擁するキャノンデール・ドラパック photo:Makoto.AYANO2018年1月1日からスリップストリームスポーツのデジタルメディアスポンサーとなるオース(Oath)は、アメリカに本拠を置く大手電気通信事業者であるベライゾンが、Yahoo!アメリカを主要事業と傘下のAOL(インターネットプロバイダサービス)と共に買収して立ち上げた合弁会社。日本国内にも8月1日からOath Japanとなる法人を置いており、「TechCrunch Japan」、「Engadget日本版」、「Autoblog日本版」、朝日新聞社との合弁事業である「ハフポスト日本版」などを展開している。

現在のところオースのスポンサーシップは2018年の一年間。デジタルコンテンツへの強みを活かして動画を中心としたメディア配信を強化することで、オースのネットワークを通じて世界10億人以上の視聴者に対する宣伝効果が見込まれているという。AR(拡張現実)、360度動画、そしてライブ中継など新しいテクノロジーを積極的に活用していきたい、とオース社の副代表であるステイシー・ランバトス氏は語っている。

2015年、当時のキャノンデール・プロサイクリングと、ジョナサン・ヴォーターズ氏が率いるスリップストリームスポーツ社が運営していたガーミン・シャープが合併して生まれた現キャノンデール・ドラパック。結成当初からキャノンデールのスポンサー契約は2017年までの3年間となっており、ヴォーターズGMはスポンサー探しを強いられていた。

ヴォーターズGMは「プロトン内にはたくさんのストーリーがあるが、実際に伝えられているのはごく一部。このパートナーシップでより多くの人に魅力的なコンテンツを届けることができれば良いと考えている」と語っている。未だ新チーム名などはまだ明らかにされていないが、使用機材は来期もキャノンデールとなる見込みだ。

text:So.Isobe
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逃げグループから残り3kmでアタック ボアッソンハーゲンが念願の今大会初勝利

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222.5kmの今大会最長ステージで逃げ切り決まる。入念なコースチェックが功を奏し、残り3kmを切ってから逃げメンバーを振り切ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)が独走勝利を飾った。



チームスカイを先頭にラベンダー畑を抜けるチームスカイを先頭にラベンダー畑を抜ける photo:Tim de Waele / TDWsport
ツール・ド・フランス2017第19ステージツール・ド・フランス2017第19ステージ©GEOATLASツール・ド・フランス2017第19ステージツール・ド・フランス2017第19ステージ©A.S.O.
平穏な1日を過ごしたマイヨジョーヌのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)平穏な1日を過ごしたマイヨジョーヌのクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
例年であれば最終山岳ステージから立て続けに最終個人TTもしくはパリ凱旋に向かうが、2017年はその間にワンクッション置く。アルプス山脈のアンブランから2つの3級山岳を越えて、徐々に高度を下げながらプロヴァンスへ。コース全長は今大会最長222.5km。スプリンターにもチャンスがあるが、多くのチームが逃げに打って出た。

スタート後すぐ、ベルギー独立記念日に合わせてベルギー勢を中心にアタック合戦が繰り広げられる。マルセル・キッテル(ドイツ、クイックステップフロアーズ)のステージ5勝の立役者とも言える「集団コントロールの巧者」ジュリアン・ヴェルモート(ベルギー、クイックステップフロアーズ)もアタックにジョイン。リードを得る逃げが生まれないままメイン集団は2つの連続3級山岳に差し掛かり、35km地点でようやく20名の先行が始まった。

ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール)やバウケ・モレマ(オランダ、トレック・セガフレード)、トニー・ガロパン(フランス、ロット・ソウダル)というオールラウンダーの他、ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)やエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)、ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)というスプリンターを含む20名の逃げ。総合20位(47分03秒遅れ)のモレマを含むこの逃げグループをメイン集団は見送った。

チームスカイが逃げグループを捉えることに興味を示さなかったため、222.5kmという長丁場の1/3を終えた時点でタイム差は8分まで拡大。メイン集団では、パリまで300km強を残してオンドレイ・シンク(チェコ、バーレーン・メリダ)とティモ・ルーセン(オランダ、ロットNLユンボ)がリタイアを選択している。

逃げグループはデヘントを先頭にメイン集団から8分リードを保ったままスプリントポイント(136.5km)を駆け抜ける。この時点でマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)のポイント賞トップの座は誰にも手の届かない状態となり、マイヨヴェール獲得が暫定的に確定した。

レース序盤にアタックするリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー)レース序盤にアタックするリリアン・カルメジャーヌ(フランス、ディレクトエネルジー) photo:Tim de Waele / TDWsport
メイン集団の先頭で走り続けたチームスカイメイン集団の先頭で走り続けたチームスカイ photo:Tim de Waele / TDWsport
序盤のペースアップによって遅れるアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン)序盤のペースアップによって遅れるアレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、カチューシャ・アルペシン) photo:Tim de Waele / TDWsport逃げグループを牽引するエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)逃げグループを牽引するエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele / TDWsport
ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)ら20名が逃げグループを形成ベン・スウィフト(イギリス、UAEチームエミレーツ)ら20名が逃げグループを形成 photo:Tim de Waele / TDWsport
アルプスを抜けてプロヴァンスを目指すプロトンアルプスを抜けてプロヴァンスを目指すプロトン photo:Tim de Waele / TDWsport
フィニッシュまで60kmを残してタイム差は依然として8分のまま。逃げきりが徐々に濃厚になってきた先頭グループからはステージ優勝に向けた動きが出始め、果敢にアタックしたイェンス・クークレール(ベルギー、オリカ・スコット)はしばらくの独走ののちに吸収される。この日最後の3級山岳の登りが始まるとロメン・シカール(フランス、ディレクトエネルジー)がペースを上げてセレクションを開始した。

シカールと協調したのは最年少エリー・ジェスベール(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)とロベルト・キセルロウスキー(クロアチア、カチューシャ・アルペシン)の2人。メイン集団とのタイム差を9分まで広げながらシカールら3名が3級山岳をクリアしたが、下り区間で再び先頭は20名に戻る。

下りを利用してモレマが飛び出すシーンも見られたが決まらない。メイン集団とのタイム差が8分、9分、10分と順調に広がり続けたため、もはや協調体制を築けない逃げグループではアタックに次ぐアタックが繰り返されることに。残り20kmを切った横風区間でクークレースがペースアップすると逃げグループは二分された。

先頭はデヘント、クークレール、バークランツ、ボアッソンハーゲン、アルント、ジェスベール、ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、モビスター)、シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)という9名に絞られ、追走グループとのタイム差を13秒まで広げて残り10kmアーチを通過していく。しばらく追走グループを引き離すために先頭9名は協調体制を築いたが、すぐに再びアタックのスイッチが入った。

逃げグループからアタックを仕掛けるミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)逃げグループからアタックを仕掛けるミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット) photo:Tim de Waele / TDWsport
横風区間で9名に絞られた逃げグループ横風区間で9名に絞られた逃げグループ photo:Tim de Waele / TDWsportマイヨヴェールを着て走るマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)マイヨヴェールを着て走るマイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ) photo:Tim de Waele / TDWsport
残り3kmでニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)と飛び出したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)残り3kmでニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)と飛び出したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele / TDWsport
残り3kmでアルントを引き離したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)残り3kmでアルントを引き離したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele / TDWsport
アタックと牽制、そしてアタック。メンバー2人(クークレールとアルバジーニ)を抱えるオリカ・スコットが積極的に仕掛けたが決まらない。すると、残り2.8km地点のラウンドアバウトを抜けたところでボアッソンハーゲンとアルントが抜け出した。

「今朝、フィニッシュ地点のビデオを見て予習していたので、ラウンドアバウトの右側が有利だと分かっていた。ニキアス・アルントを除いて他の選手たちは左側をチョイス。ラウンドアバウトを抜けたところで距離が開いたので、そこがタイミングだと判断して仕掛けた」というボアッソンハーゲンがアルントとともに残る7名を引き離し、そこからさらに加速して独走に持ち込む。単独で追走したアルントも、その後ろの7名も、得意の短距離TTに持ち込んだボアッソンハーゲンには届かなかった。

写真判定の必要が全くない独走勝利。自身ステージ通算3勝目を飾ったボアッソンハーゲンはフィニッシュ後にチームマネージャーと抱き合い、雄叫びをあげた。「写真判定で負けるのはもうたくさんなので、スプリント勝負に持ち込むのではなく独走で勝ちたかった。敗れはしたものの、集団スプリントでの僅差の敗北が自分に自信を与えてくれた。マーク・カヴェンディッシュがリタイアした後も、チームはモチベーションを失わず、ただ集団の中で過ごすのではなく、攻撃を続けたんだ。ようやく手にした勝利をとにかく嬉しく思う」と、ディメンションデータに今大会1勝目をもたらしたボアッソンハーゲン。この日の勝利でポイント賞3位に浮上している。

独走でフィニッシュするエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)独走でフィニッシュするエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele / TDWsport
安全に集団前方でフィニッシュするクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)安全に集団前方でフィニッシュするクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Tim de Waele / TDWsport
強風が吹かなかったことで平穏に平坦ステージを終えたクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)は「全力を出すことなく1日を平和に終えることができたので、明日の個人TTに向けて力を貯めることができた。それはチームメイトたちがずっとメイン集団をコントロールしてくれたおかげだ」と語る。

マルセイユを舞台にした第20ステージ個人タイムトライアルを前にフルームはロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)から23秒、リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)から29秒のリードを得ている。4度目の総合優勝に王手をかけたフルームは「個人TTのコースは自分向きだけど、ステージ優勝を狙えるかと聞かれればプリモシュ・ログリッチェやトニー・マルティンには及ばないと思う。自分はリスクを犯すことなく今まで通りにTTを走るだけ。ホイールは交換できるけど脚は交換できないので、パンクよりも落車が怖い。総合タイムを挽回しなければならない立場よりも、追われる立場のほうがずっといい」とコメントしている。

総合成績やヤングライダー賞のランキングに変動はなし。マシューズがマイヨヴェールを、そしてワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)がマイヨアポワ獲得を確定させた。バークランツを含む逃げ切りが決まったことでチーム総合1位のチームスカイと同2位アージェードゥーゼールのタイム差が15分18秒から3分08秒に縮まっている。

念願のステージ優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)念願のステージ優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
笑顔で表彰台に上がるエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)笑顔で表彰台に上がるエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
マイヨジョーヌを着て最終個人TTに挑むことになったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを着て最終個人TTに挑むことになったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsportステージ敢闘賞はイェンス・クークレール(ベルギー、オリカ・スコット)の手にステージ敢闘賞はイェンス・クークレール(ベルギー、オリカ・スコット)の手に photo:Kei Tsuji / TDWsport
ツール・ド・フランス2017第19ステージ結果
ステージ成績
1位エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)5:06:09
2位ニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)0:05
3位イェンス・クークレール(ベルギー、オリカ・スコット)0:17
4位ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、モビスター)
5位トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)
6位シルヴァン・シャヴァネル(フランス、ディレクトエネルジー)
7位エリー・ジェスベール(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)
8位ヤン・バークランツ(ベルギー、アージェードゥーゼール)
9位ミヒャエル・アルバジーニ(スイス、オリカ・スコット)0:19
10位ピエールリュック・ペリション(フランス、フォルトゥネオ・オスカロ)1:32
105位新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)12:27
DNFオンドレイ・シンク(チェコ、バーレーン・メリダ)
DNFティモ・ルーセン(オランダ、ロットNLユンボ)
敢闘賞イェンス・クークレール(ベルギー、オリカ・スコット)
マイヨジョーヌ(個人総合成績)
1位クリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)83:26:55
2位ロマン・バルデ(フランス、アージェードゥーゼール)0:23
3位リゴベルト・ウラン(コロンビア、キャノンデール・ドラパック)0:29
4位ミケル・ランダ(スペイン、チームスカイ)1:36
5位ファビオ・アル(イタリア、アスタナ)1:55
6位ダニエル・マーティン(アイルランド、クイックステップフロアーズ)2:56
7位サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)4:46
8位ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)6:52
9位ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)8:22
10位アルベルト・コンタドール(スペイン、トレック・セガフレード)8:34
マイヨヴェール(ポイント賞)
1位マイケル・マシューズ(オーストラリア、サンウェブ)364ts
2位アンドレ・グライペル(ドイツ、ロット・ソウダル)204pts
3位エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)200pts
マイヨアポワ(山岳賞)
1位ワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)169pts
2位プリモシュ・ログリッチェ(スロベニア、ロットNLユンボ)80pts
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)64pts
マイヨブラン(ヤングライダー賞)
1位サイモン・イェーツ(イギリス、オリカ・スコット)83:31:41
2位ルイス・マインティーズ(南アフリカ、UAEチームエミレーツ)2:06
3位エマヌエル・ブッフマン(ドイツ、ボーラ・ハンスグローエ)26:15
チーム総合成績
1位チームスカイ250:38:26
2位アージェードゥーゼール3:08
3位BMCレーシング1:41:51
text&photo:Kei Tsuji in Salon-de-Provence, France
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の画像 パリ在住の料理人が教える 誰でも失敗なくできる スイーツレシピ
投稿者:えもじょわ
出版社: KADOKAWA (2017)
装丁:単行本, 128 ページ
の画像 パリの着せ替えどうぶつ人形
投稿者:今野 はるえ
出版社:産業編集センター (2017)
装丁:単行本, 87 ページ
の画像 パリでメシを食う。 (幻冬舎文庫)
投稿者:川内 有緒
出版社:幻冬舎 (2010)
装丁:文庫, 334 ページ

前夜祭は地元グルメと地酒で満腹!サプライズなゲストの登場も? 走ってみっぺ南会津 前編

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7月16日から17日にかけて、福島県の南会津にて開催されたロングライドイベント「走ってみっぺ南会津!」。アットホームな雰囲気で、ゆったりまったりとして時間を過ごせるイベントに、今年もシクロワイアード編集部がお邪魔しました。



夏場はMTBパーク、冬はスキー場となるたかつえスキー場夏場はMTBパーク、冬はスキー場となるたかつえスキー場地元の木材を使ったスタンドも地元の木材を使ったスタンドも


多くの人が集まった走ってみっぺ南会津の前夜祭多くの人が集まった走ってみっぺ南会津の前夜祭
栃木県と福島県の県境にほど近い、南会津。周辺には尾瀬や那須、日光といった国内屈指の観光地が並び、リゾート地としても高いポテンシャルを持つエリアである。そんな南会津の高原地帯を舞台に開催されるロングライドイベントが「走ってみっぺ!南会津」である。

会場となるのは、スノーリゾートとして多くのスキーヤーやスノーボーダーが集まる会津高原たかつえスキー場。東京からであれば東北道で西那須塩原ICを降りて、一山越えて1時間ほど。夏場はMTBのコースとして営業しており、ダブルクラウンのサスペンションを装備したダウンヒルバイクがずらりと並んでいる様子はなかなか壮観だ。

前夜祭受付に並ぶ人たち前夜祭受付に並ぶ人たちこの日の目玉である花泉の樽この日の目玉である花泉の樽

地元グルメに舌鼓を打つ地元グルメに舌鼓を打つ
今年で6年目を迎えることとなったこの大会は、毎年着実に人気を高めていっている。大会の定員こそ昨年と同様だが、ここ数年は満員御礼であり、定員に達するまでのスピードは年々速くなっているのだとか。そして、その中でも最も早くチケットが売り切れてしまうのが、前夜祭に参加できる宿泊付きのプランだというのだから、驚きだ。

その人気の秘密は、もちろん大会会場に至便な宿泊施設が用意されているということももちろんながら、前夜祭の魅力が大きい。ハイシーズンはスキー客でごった返すであろう広々としたスキーセンタースペーシアのレストラン「オーロラ」はこの日、サイクリストによって埋め尽くされた。

ずらりと並べられた250席は、全てが埋め尽くされており、まさにお祭りといった様子。全参加者が800名弱であるので、およそ3分の1の方が参加している計算になる。その人気の秘訣は何なのか、不思議に思われる読者の方も多いだろう。その疑問に対して、私が考える答えは3つある。

毎年恒例の鏡開き毎年恒例の鏡開きまずは地酒の花泉でかんぱーい!まずは地酒の花泉でかんぱーい!

会津ラーメンやソースカツ、鹿肉の煮込みなど地元のグルメがたくさん会津ラーメンやソースカツ、鹿肉の煮込みなど地元のグルメがたくさん花泉のおかわりには常に列ができていた花泉のおかわりには常に列ができていた

オリジナルの御猪口も用意されていたオリジナルの御猪口も用意されていた仲間とわいわい楽しく過ごしましょう仲間とわいわい楽しく過ごしましょう


1つは、おいしい地元グルメに地酒を含めた飲み放題。机の上に並べられるのは、これでもか!と言わんばかりのバリエーションを誇る南会津の名産品たち。大会当日のエイドでも振舞われるブランド野菜の南郷トマトや、会津地鶏のチーズタッカルビ、馬肉の煮込みや岩魚の黒酢あんかけ、きのこや山菜を使った炒め物やお味噌汁など、地元での食材をふんだんに使った料理達、そして、会津B級グルメとしてソースカツやカレー焼きそばといったご当地料理の数々が振舞われるのだ。

そこに拍車をかけるのが、暑い夏の夜に嬉しい飲み放題。ビールやチューハイといった定番ドリンクはもちろんだけれど、目玉となるのは幻の銘酒としてコアな日本酒ファンを魅了してきた「花泉」。豪雪地帯である南会津の雪解け水が原生林によって育まれた名水「高清水」を仕込みに使った花泉は、とても深い味わいとすっきりした飲み口が特徴の逸品。そんな銘酒が飲み放題というのだから、呑兵衛にはたまらない。

花泉が当たる抽選会も花泉が当たる抽選会も目玉商品のアストリアホテル宿泊券をゲット!目玉商品のアストリアホテル宿泊券をゲット!

舘岩大太鼓は迫力の演奏舘岩大太鼓は迫力の演奏子供もダイナミックにビートを刻んだ子供もダイナミックにビートを刻んだ


正直、これだけでもリピートするには十分な理由なのだけれど、美味しいお酒に地元グルメだけならば他の大会の前夜祭も負けていない、という人もいるかもしれない。でも、この前夜祭の魅力はそれだけじゃない。残る2つの内1つは、豪華なプレゼントが用意された大抽選会や、地元舘岩の大太鼓演奏といった、様々なプログラムが用意されていること。抽選会には、花泉や会津アストリアホテルの宿泊券といった賞品が用意され、当選番号が読み上げられる度に会場は大盛り上がり。舘岩の大太鼓の演奏も大迫力で、思わず聞き入ってしまう。

最後の、そして最も大きな理由は、大会を支えるスタッフたちが醸し出すアットホームな雰囲気だろう。大会をサポートする宇都宮ブリッツェンの廣瀬GMや、MCの棚橋麻衣さん、ゲストの絹代さんの掛け合いが、とても居心地の良い空気を生み出しているのだ。

一言で言えば「ゆるーい」空気。それは、自他共に認めるところで、廣瀬GM曰く「世界一ゆるーい自転車イベント」なのだとか。どれくらい緩いのかといえば、大会6年目にして、100kmコースが実は107kmだったという衝撃の事実が、前夜祭の冒頭で明かされるほど(笑)

畑中選手らを含めた4人のトークショー畑中選手らを含めた4人のトークショー家族でトークショーの場に立った畑中家家族でトークショーの場に立った畑中家

石川ロードで勝利した雨澤選手石川ロードで勝利した雨澤選手なんと雨澤選手のお母さんも駆け付けたなんと雨澤選手のお母さんも駆け付けた


そんな空気も相まって、ゲストライダーとして招聘される宇都宮ブリッツェンや那須ブラーゼンの選手たちも、心なしかいつもよりにこやかな印象。チームのファンにとっても、憧れの選手たちと交流できる貴重な機会ということもあり、積極的に話しかける方も多かったよう。

また、スペシャルゲストとして全日本王者である畑中選手も登場。事前には何も告知されておらず、サプライズな出演に会場がどよめくが、「こんばんは!王者です!」というゆるーい挨拶で、ちょっと緊張した雰囲気はどこへやら。奥さんである絹代さん、そして娘さんとともに、ステージでほんわかとしたトークを繰り広げてくれた。

そんな楽しい時間はあっという間に過ぎるもの。宴もたけなわとなり、閉会の挨拶がされれば、各々の宿泊場所へ。送迎バスも用意されているので、酔っぱらっても大丈夫だし、ハンドルキーパーを用意しておく必要もないのは嬉しい配慮。明日のライドへと期待を膨らませながら、寝床へと向かっていった。

text&photo:Naoki.YASUOKA

フジ SL ELITE クラスを超えたピュアクライマー 

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日本をルーツに持つアメリカンバイクブランド、FUJI(フジ)のライトウェイトクライミングマシン「SL」シリーズ。その中でもハイエンドに位置する「SL ELITE」をインプレッション。価格を越えたパフォーマンスを発揮するレーシングマシンの真価を問う。



フジ SL ELITEフジ SL ELITE (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
創業以来、既に117年を数える世界でも屈指の老舗バイクブランドが今回紹介するフジだ。現在はアメリカのブランドとなっているが、そのブランドネームからも想像できるように、もともとのルーツは日本にある。1899年、電灯の輸入販売を生業としていた日米商会が立ち上げた自転車ブランドが海を渡り、ワールドワイドな総合バイクブランドへと飛躍した。

シティコミューターからピュアレーシングバイクまで幅広いラインアップを手がけるフジだが、同社の歴史の中でも金字塔となる勝利が、2011年のブエルタ・ア・エスパーニャ総合優勝だろう。フジがメインスポンサーを務めていた「フジ・セルヴェット」のファンホセ・コーボ(スペイン)による勝利は、フジのバイクが世界で伍していくだけの高い性能を持っていることを証明してみせた。

コーボのブエルタ制覇を支えたのは、当時のオールラウンド系フラッグシップである「ALTAMIRA」だった。その実績あるレーシングバイクの直系として、より軽く、より速く走るために更なる改良を加えられてデビューしたのが今回紹介する「SL ELITE」だ。

大口径のダウンチューブが高い剛性を担う大口径のダウンチューブが高い剛性を担う富士山を象ったブランドロゴがヘッドチューブに入る富士山を象ったブランドロゴがヘッドチューブに入るスマートなフロントフォーク 内側には都市迷彩柄がスマートなフロントフォーク 内側には都市迷彩柄が


SL ELITEのコンセプトとなるのは軽さ。”Worth The Weight”(重さの価値)をテーマに開発されたSL ELITEのフレーム重量はなんと695g。グランツールを制した前作から19%以上の減量を果たし、市場に存在するロードバイクの中でも5本の指に入る超軽量バイクとして送り出されることとなった。

その驚異的な重量は「High Compaction Molding(HC製法)」というフジオリジナルのカーボン成形技術が大きく貢献している。このテクノロジーは、応力が集中する各チューブの接続部の内側に出来るシワやヒダ、剛性向上に寄与しない余計な樹脂を徹底的に取り除き、カーボンの積層を強力に圧縮(High Compaction)することでチューブ内壁を滑らかに仕上げるというもの。この技術自体は、前作であるALTAMIRAにも取り入れられていたが、SL ELITEではより多くのセクションにHC製法を採用することでさらなる軽量化と剛性の向上を目指したという。

徹底的な無駄の削減という面では、フレームの各部位を繋ぐジョイント部分を減らしたことも軽量化へ大きく貢献している。フロントトライアングルを一体成型し、左右のシートステー+チェーンステーという3ピース構造とすることによって、接合部を前作の半分である4か所まで減らしている。チューブ同士の重なりを最小限に抑えることで劇的な軽量化を果たすと同時に、各ピースの大型化によって、カーボンファイバーを連続的に使用することが可能となり、素材の持つ性能をさらに引きだすことが可能となった。

トップチューブにはモデル名が誇らしげに入るトップチューブにはモデル名が誇らしげに入る内部にリブが設けられたマッシブなフォークブレード内部にリブが設けられたマッシブなフォークブレード

C15ハイモジュラスカーボンを使用していることを示すアイコンC15ハイモジュラスカーボンを使用していることを示すアイコンシートステーは2本出しシートステーは2本出し


また、軽量化への情熱はケーブルストッパーなどのスモールパーツにまで及んでいる。1gの無駄も許さないという、徹底的な信念のもと、全てのパーツには軽量素材が使用されている。超軽量なこれらのスモールパーツはデタッチャブルとなっており、機械式と電動式、どちらのコンポーネントにも対応する、使い勝手の良さもしっかりと配慮された設計だ。

ただ軽いバイクではレーシングバイクとして片手落ちとなる。フジはこのバイクにレースで勝つために必要なものは全て与えたという。残るピースは最大限にライダーのパワーを推進力へと変換する駆動伝達効率と、エッジの効いた下りを攻めていくことが出来るハンドリング性能だ。

レーシングバイクに欠かせないこの2つを満たすために必要なのが、ねじれずたわまない高いフレーム剛性だ。通常軽くすれば、減らされた部材の分だけ剛性が低下するのが常だが、フジはその物理法則を軽々と乗り越えて見せた。つまり、ALTAMIRAから19%軽くなったSL ELITEは、ヘッドチューブで9%、BB周辺で11%、フォークで18%の剛性向上を果たしているのだ。

PF30のBBによって軽量化を図ったPF30のBBによって軽量化を図ったコンパクトにまとめられたリアエンドコンパクトにまとめられたリアエンド


その秘密の一端は、先ほど触れたHC製法にあるのは間違いないが、フレーム形状の変更も大きな貢献を果たしている。大口径のダウンチューブは従来の円断面から八角形断面へと変更されることで、平面部分に成型が困難な超高張力なカーボンを使用することを可能とした。シートチューブやトップチューブ、フォークなどにも同様の平面部分が設計されるほか、BBにはPF30規格を採用することで軽量化と同時にパワー伝達効率を向上させている。

一方、フロントフォークにはブレ―ド内部にリブが設けられる「RIBテクノロジー」が採用され、あらゆる方向へのねじれ剛性が高められている。HC製法で軽く硬く成形されたフォーククラウンと合わせ、カミソリのようなシャープなハンドリングを実現した。

極細のシートステーによって、快適性を確保するのは前作より受け継いだもの。ジオメトリーについても妥協せず、各サイズで適正なハンドリングを実現するために、フジは2種類のオフセットを持つフォークと、3種類のヘッドアングルを組み合わせることで、46~56サイズそれぞれに対して最適なトレイル量を設定している。特にハンドリングに癖が出やすい小さななサイズのバイクに対して、コストを度外視しても専用のフォークを用意するというのは、誠実なブランドであることの証明ともいえる。

極細シートステーによって快適性を確保する極細シートステーによって快適性を確保するシートクランプやピラーはオーソドックスなタイプを使用するシートクランプやピラーはオーソドックスなタイプを使用するシートチューブもボリュームたっぷりだシートチューブもボリュームたっぷりだ


サイズに影響されやすい剛性感についても、チューブ径やカーボンの積層を調整することで、全サイズ共通の乗り味を実現している。チューブの長さによる剛性の多寡、体格差からくるパワーの有無を考慮したチューニングが施されているので、どんな身長の人でも安心して選ぶことができるのは、フジの大きな魅力だろう。

これだけのテクノロジーが注ぎこまれたハイエンドバイクながら、リーズナブルなプライスタグが下げられているのも多くの人にとっては魅力的な要素だろう。フレーム価格で25万円と、他社であればミドルグレードの価格帯となっており、ずば抜けたコストパフォーマンスを発揮しているバイクでもあるのだ。

今回インプレッションしたのは、C15 ウルトラハイモジュラスカーボンを使用したハイエンドモデルSL ELITE。R9100DURA-ACEとマヴィック KSYRIUM PRO CARBONを組み合わせたヒルクライム仕様のテストバイクとなる。それではインプレッションへと移ろう。



― インプレッション

「25万円とは思えないほど硬くて軽い高性能バイク」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)

25万円という価格を聞いてビックリするほど硬くて軽い高性能バイクです。この値段帯のバイクだと乗り味をコンフォートに振ったバイクが多い中で、異質とも思えるようなレーシーさを持ち合わせています。この完成度はクラスレスといった感じで価格以上の性能を秘めています。

「25万円とは思えないほど硬くて軽い高性能バイク」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)「25万円とは思えないほど硬くて軽い高性能バイク」鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)
フレームは全体的に剛性が高い味付けとなっているのですが、その中でも特にBB周りの硬さが際立ちます。そのため踏みこんだ時のパワーが逃げず、推進力に繋がっていく感覚が味わえますね。その反面、脚への反発は大きめですので、ロングライドでは疲労が溜まりやすいかもしれません。こういった点もレーシングバイクらしいと感じる部分です。

登りに関してはシッティングでもダンシングでも踏んだ分だけ進んでくれる軽快さがあります。特にダンシングする際は、軽量でバイクが振りやすいのに加えて、重心のバランスが良いため、バイクに安定感があります。フレームが低重心設計なのもあり、ただ軽いだけのバイクにありがちな不安定さはありません。

ですので、ヒルクライムではダンシングで軽快に登っていって、疲れたらシッティングでリズムを取りながら走るというようにすると、タイムアップを目指せると思います。このバイクは登りが好きな人なら絶対喜ぶ乗り味だと思いますね。

ハンドリング性能は軽快というよりは車体を倒して曲がって行くようなイメージで、いわゆるマイルドな感覚です。ですがこのヘッド周りの設計などもダンシングのし易さに繋がっているように感じますので、そういった点もヒルクライムに最適な要因でしょうか。

これを踏まえると、このバイクはヒルクライムイベントで良いタイムを狙いたい人におすすめ出来ますね。まずはそれに尽きると思います。その上で、軽さを活かして日本CSCのようにアップダウンが激しいコースでレースをしたり、フレームの反応性を活かしてクリテリウムしたりなど、短く強度が高い走り方に最適だと思いますね。

「非常に軽くヒルクライムや登りの多いコースでアドバンテージを得られる」三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)

このバイクに乗った第一印象は重量が軽いということです。この重量であれば、ヒルクライムや登りの多いコースで確実にアドバンテージを得ることが出来ます。また剛性も高く、ペダルを踏むとパリッと乾いた感覚と共に素早く反応してくれます。レーシングバイクらしい挙動を見せてくれますね。

「非常に軽くヒルクライムや登りの多いコースでアドバンテージを得られる」三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)「非常に軽くヒルクライムや登りの多いコースでアドバンテージを得られる」三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)このフレーム剛性の高さはBB部分から来ているように感じます。それこそレーシングフレーム然とした硬さで、踏んだ分だけダイレクトに進んでくれる反応性を持っていますね。一方、脚への反発は高めですので、長い距離を走り切るとなると疲労は大きいかもしれません。その点で言えばスパルタンな乗り心地ですね。

快適性に関してはリアのシートステーが細くしなるためか、サドルから受ける振動を吸収してくれるように感じます。フロント部分やBBが硬い分、リア三角でいなしてくれているように感じますね。硬めのバイクと言えど、ここには少しですが優しさを感じます。

今回のテストバイクにアッセンブルされていたホイールは軽量なローハイトリムホイールでしたが、ディープリムホイールでも伸びるような加速を感じられると思います。ホイールのリムハイトによる相性の差は無いと思いますね。ですのでコースによって最適なホイールを使い分けるのが良いと思います。

黒を基調にしたモノトーンデザインですが、落ち着いたカラーで多くの人に好まれるルックスだと思います。派手なデザインが好きだとしてもステッカーであったり、リペイントがし易いと思いますので、そういったカスタマイズ層にも人気が出るかもしれません。でもこの艶消しブラックのままでもウェアなどに合わせやすいですし、飽きがこないので良いですね。

このバイクは高い軽量性と反応性を活かして、ヒルクライムイベントやクリテリウムレースで最適だと思います。短めのレースなどでアタックを繰り返す走りにマッチすることでしょう。フレームセット25万円とお買い得ですし、初めて買ったアルミバイクに続く2台目としてレースで結果を残したい人には最適な選択だと思います。

フジ SL ELITEフジ SL ELITE (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp


インプレッションライダーのプロフィール

鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)鈴木卓史(スポーツバイクファクトリー北浦和スズキ)

スポーツバイクファクトリー北浦和スズキの店長兼代表取締役を務める。大手自転車ショップで修行を積んだ後、独立し現在の店舗を構える。週末はショップのお客さんとのライドやトライアスロンに力を入れている。「買ってもらった方に自転車を長く続けてもらう」ことをモットーに、ポジションやフィッティングを追求すると同時に、ツーリングなどのイベントを開催することで走る場を提供し、ユーザーに満足してもらうことを第一に考える。

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三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)三宅尚徳(カミハギサイクル 緑店)

名古屋市緑区にあるカミハギサイクル 緑店店長。お店はロードバイク始め、クロスバイクやトライアスロンバイクとオンロードに重きを置いて展開。ショップスタッフとして10年以上の経歴になり、長年フィッティングを担当していた経験を元に、お客さんにマッチしたバイク選びやセッティングのアドバイスを提供している。ポタリングやツーリングを好み、よりエントリー層に近い目線での接客を心がける。

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ウェア協力:ルコックスポルティフ
ヘルメット協力:ジロ
アイウェア協力:ボレー

text:Kosuke.Kamata
photo:Makoto.AYANO
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ボアッソンハーゲン「独走で勝ちたかった」 クークレール「彼に10m以上のリードを与えてはいけなかった」

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「写真判定で負けるのはもうたくさんなので、スプリント勝負に持ち込むのではなく独走で勝ちたかった」とは、熾烈なアタック合戦の末に勝利したエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)。その他逃げメンバーや、マイヨジョーヌで個人TTに挑むクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)らのコメントを紹介します。



ステージ優勝、エドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)

2011年以来のツールでのステージ優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)2011年以来のツールでのステージ優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Makoto.AYANO
今朝、フィニッシュ地点のビデオを見て予習していたので、ラウンドアバウトの右側が有利だと分かっていた。ニキアス・アルントを除いて他の選手たちは左側をチョイス。ラウンドアバウトを抜けたところで距離が開いたので、そこがタイミングだと判断して仕掛けた。

写真判定で負けるのはもうたくさんなので、スプリント勝負に持ち込むのではなく独走で勝ちたかった。敗れはしたものの、集団スプリントでの僅差の敗北が自分に自信を与えてくれた。マーク・カヴェンディッシュがリタイアした後も、チームはモチベーションを失わず、ただ集団の中で過ごすのではなく、攻撃を続けたんだ。ようやく手にした勝利をとにかく嬉しく思う。

独走でフィニッシュするエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ)独走でフィニッシュするエドヴァルド・ボアッソンハーゲン(ノルウェー、ディメンションデータ) photo:Tim de Waele / TDWsport
チームメイトは集団のペースを作って、登りでは常にアタックに反応できる位置にいさせてくれた。逃げ集団に乗ってからはうまく協調して一気に差を広げることができたんだ。当然最後はアタック合戦になったけれど、集団の中で脚を残しながらスマートに立ち振る舞えた。

2位を悔しがるニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)2位を悔しがるニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ) photo:Makoto.AYANOボアッソンに逃げられたニキアス・アルント(ドイツ、サンウェブ)

逃げグループ内に強い選手がたくさんいたので、9人に絞り込まれてもなお厳しい戦いになるなと思っていたよ。ランドアバウトの右側を選んだら少し差が生まれたけれど、ボアッソンの加速に付き切れしてしまった。サンウェブとしてはステージ優勝が4つ、特別賞ジャージが2つ、そして今日は2位を確保できた。チームの雰囲気は素晴らしいし、その中で生んだ2位は良い結果だと思う。

ステージ3位、イェンス・クークレール(ベルギー、オリカ・スコット)

敢闘賞はイェンス・クークレール(ベルギー、オリカ・スコット)敢闘賞はイェンス・クークレール(ベルギー、オリカ・スコット) photo:Makoto.AYANO
もちろんステージ優勝できれば良かったけれど、3位表彰台も悪くはない。オリカ・スコットとしてはほぼ全ての手は尽くした。逃げに乗ることがまず第1で、人数を絞ることが第2、勝利を飾ることが第3だったけれど、そこには到達できなかった。今朝のミーティングでランドアバウトの存在について話していて、右側から通過するのがベターだとわかっていたつもりだった。でもそれが頭から消えかかっていて、左側から抜けようとした時にふと気づいた。けれどもうその時にはボアッソンが加速体制に入っていたんだ。彼には10m以上の差を与えてはいけなかったのに。

4位を悔しがるダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、モビスター)4位を悔しがるダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、モビスター) photo:Makoto.AYANOステージ4位、ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、モビスター)

ボアッソンが20〜30mの差を付けたらもう追いつけない。左側を通過した選手のミスだった。バッドラック続きのチームにステージ優勝したかったけれど届かなかった。バルベルデのため、そして木曜日が誕生日だった息子フランチェスコのため、そしてジロの活躍が祟って総合順位を落としてしまったキンタナのために勝ちたかった。望む形になっていないこのツールだけど、全力は尽くした。

ステージ5位、トーマス・デヘント(ベルギー、ロット・ソウダル)

注意すべきはボアッソン、クークレール、そしてシャヴァネルの3人。今日の状況ではとても危険な選手だった。逃げ集団内のほぼ全ての選手が疲れていたので、ボアッソンがアタックした時も注意散漫だったように思う。残念ながらもっと上の成績を残せただろうけど、今日の逃げがスーパー敢闘賞に繋がれば良いね。

マイヨジョーヌでTTに挑むクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)

マイヨジョーヌを着て最終個人TTに挑むことになったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ)マイヨジョーヌを着て最終個人TTに挑むことになったクリストファー・フルーム(イギリス、チームスカイ) photo:Kei Tsuji / TDWsport
明日はビッグ・ファイトになるはず。チームではなく、個人対個人の戦い。TV観戦が面白くなりそうだ。個人TTのコースは基本的に平坦でコーナーも少ないが、1.2kmで12〜15%と急勾配の登りが控えている。そのあとはハイスピードでコーナーが連続するダウンヒルが続く。自分向きだけど、ステージ優勝を狙えるかと聞かれればプリモシュ・ログリッチェやトニー・マルティンには及ばないと思う。自分はリスクを犯すことなく今まで通りにTTを走るだけ。ホイールは交換できるけど脚は交換できないので、パンクよりも落車が怖い。総合タイムを挽回しなければならない立場よりも、追われる立場のほうがずっといい。

警戒しているのはリゴベルト(ウラン)の走り。彼が絶好調の時の平坦の走りは素晴らしいし、ツール終盤だけにフレッシュさがものをいう。このような状況では有力勢以外でもサプライズ的な走りを見せる選手がいるんだ。例えばバルデだって脅威になりうる。観客の彼に対する応援は本当にすごいものさ。

マイヨアポワを確定させたワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)

マイヨアポワを確定させたワレン・バルギル(フランス、サンウェブ)マイヨアポワを確定させたワレン・バルギル(フランス、サンウェブ) photo:CorVos
落車やその他トラブルに対するプレッシャーやストレスもぐっと減った。パリまでマイヨアポワを着ている時間を楽しみたいと思う。マルセイユでTTを終えればすぐにパリだ。今朝はすごく早く目が覚めて、マイヨヴェールを着ているルームメイトのマシューズと一緒にずっと僕らの夢を語り合ってた。このツールでは笑みが消えないよ。ツール開幕前に二人が特別賞なんて言われたら馬鹿げてる!と言い返しただろうけれど、それが現実に起こってしまった。

text:So.Isobe
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の画像 マイヨ・ジョーヌへの挑戦 ツール・ド・フランス100周年記念大会 [DVD]
監督:ぺぺ・ダンカート
出演:ランス・アームストロング、ヤン・ウルリッヒ、エリック・ツァベル、ロルフ・アルダーク、アンドレアス・クレーデン、アレクサンドル・ヴィノクロフ
レーティング: NR - Not Rated
の画像 ヤング・ゼネレーション [DVD]
メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
部品番号:
価格:¥ 1,533
の画像 チェイシング・レジェンド(特典DVD付き2枚組)
監督:ジェイソン・ベリー
出演:チームHTC・コロンビア
レーティング: NR - Not Rated
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